ムーンフリートの秘宝
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/02/17 12:01:56
ここ数日で、1970年、学習研究社から出版され、現在は絶版になっている、ムーンフリートの秘宝を、もう何度目になるか・・読み返していました。
舞台は17世紀のイギリス南部沿岸地方。荒々しい小石浜を持ち、その地形により船が座礁しやすく、難破船が良く打ちあがるムーンフリート村が舞台です。この村はかつて豪族だったムーン家ゆかりの地であるため、その名を冠しています。一族の最後の一人、悪漢のムーン大佐、俗称黒ひげは、かつて悪行の数々で名をはせた人。
黒ひげは死の床で今までの悪行を心から悔い、国王チャールズ一世から騙し取ったという巨大なダイアモンドを村の慈善のために使おうと遺言します。しかしその隠し場所を告げる前に亡くなり、今もその幽霊が村の墓地をさまよっているという噂が村にあります。
さて、主人公のジョンは15歳。幼いころに両親を亡くし、もともとジョンの父を良く思っていないおばのジェーンの家で、日々窮屈に感じつつ暮らしています。ジェーンは日に日に彼女の姉の夫に似てくるジョンに愛情を持てず、そっけなく、厳しい生活態度で接していました。
村の住人の、主だった人はというと。
気のいい中年の寺男のラツィーは、しばしば墓の手入れなどの手伝いを申し出る冒険心旺盛な少年ジョンの良き友人です。
村の牧師兼教師のグレニー先生。温厚で辛抱強いこの牧師さんは、村中の人から尊敬されています。
村の治安判事、マスキュー氏。けちで威張りくさった、がちがちの正義感の持ち主。おおっぴらにはされていませんが、村の産業のひとつは酒の密輸なので、地元の人からはひどく毛嫌いされています。その娘のグレースは、父と正反対のやさしく、思いやりがあるお嬢さんで、村人からも彼女は好かれています。はっきり書かれていませんが、ジョンとはどうやら相思相愛のようです。
村の居酒屋の主にして、密輸団のボス、エルゼビヤ(50歳代)は公平で親切。とはいえ無愛想なため、やや気難しい酒場の親父として通っています。
エルゼビヤはジョンとかかわりを持つようになる1年前、ジョンと同じ年頃の一人息子を、密輸団と官憲の撃ち合いとなった際、村の治安判事、マスキューによって射殺されています。エルゼビヤはマスキューを嫌ってはいるものの、「善悪を裁くのは人ではない」とするだけの度量の持ち主でもあります。
ある嵐の翌日、村の人が集まった教会(学校を兼ねている)の礼拝中、床下にあるとされるムーン家の納骨堂から、うめくような奇妙な音がする、という騒ぎが起きます。グレニー先生はパニックになった人々に、昨日の嵐で海水が地下に入り、棺がぶつかって反響した音だと説きます。
その日、ジョンはいつものように散歩していた墓地に大穴が開いているのに気づき、探検してやろうと夜半単身でその洞窟に忍び込みます。
洞穴の先は納骨堂でした。が、そこは密輸団のアジトでもあったのです。昼間の奇妙な音はその酒樽が浮いてぶつかり合う音だったのでした。
ジョンがまだそこにいるうちに密輸段のメンバーがやってきます。気づかれず隠れられたのはよかったのですが、ジョンが隠れたところは黒ひげの棺桶の隣。はずみで黒ひげの遺骸が身に着けていたロケット(物入れのついたペンダント)をつかみ取ってしまいます。密輸団のメンバーは話し声から、エルゼビヤを首領とし、寺男のラツィーをはじめ、村の主だった男たちで構成されていることを知ります。
彼らが去った後、ジョンは洞窟から出ようとしますが、崩落した入り口は一人では動かせない石でふさがれてしまっていました。どうにか出ようともがき続けたジョンは意識を失います。
気づくとエルゼビヤの居酒屋で介抱されており、体が回復した後一度はエルゼビヤに連れられて家に帰ったものの、ジェーンおばの、「夜中にうろついて酒場に出入りするような子はもう知りません」という冷たい態度に傷つきます。
エルゼビヤはそんなジョンに「うちの息子になったらいい」と優しく声をかけてくれました。
そしてエルゼビヤに助けられたとき話を聞いてしまったことを話し、ジョンは自分も密輸の手伝いをすることを申し出ます。(エルゼビヤは反対するのですが)
その後、密輸の晩に摘発しようとした官憲と騒ぎになり、官憲の流れ弾に当たってマスキュー判事が亡くなります。
その死がエルゼビヤとジョンによる殺人と誤認され、二人は逃亡生活を送ることになります。このときジョンも足に弾丸を食らい、骨折。エルゼビヤの助けで、辛くも逃げおおせます。
ジョンの足がようやく治ったころ、黒ひげの秘宝の謎をジョンがついに解き明かします。そして手に入れたダイヤの価値を知ろうとダイヤ商人をたずねるのですが、この商人にダイヤを騙し取られてしまいます。
その晩、だまされたと気づいた少年ジョンが、ダイヤを取り返そうとその商人の家に飛び込んでしまったがために、強盗犯として捕まり、エルゼビヤとともに終身服役労働の刑を受け、重労働につかされてしまいます。
そして次の流刑地に移動する際、船が大嵐にあい、奇しくも船の事故が多い故郷の村の海岸へと流され、エルゼビヤの命と引き換えに、ジョン青年は九死に一生を得ます。服役期間は10年少し、村に戻ったジョンは、もう26歳になっていました。
その後、騙し取られたダイヤは、ダイヤを手に入れてから不幸続きになったという商人の遺言により、ジョン青年に送られてきます。
ジョンはそれを私のものとはせず、すべて村の福祉に使います。彼はグレースと結婚して、村の治安判事として静かに暮らしていて、冒険譚は、彼の回想という形で締めくくられています。
得意になってみたり、理不尽だとわかっていつつも行動に出てしまったり、そんなジョンの心理描写もきちんと描かれており、大人が読んでも十分楽しめるのではないかなと思う作品です。
小石浜に波が砕けるさまが見たことのある景色のごとく、浮かんできますよ。
内容は深いけど、冒険小説としても面白いので、成長度に応じて楽しめるかなと。
復刊ドットコムで、希望の声はあるけれど、難しいのかなー。
子供たちに理解出来るのかなぁ(笑
あぁ~でも, こんな物語を読んでたら,
人生の中で出会う不幸な出来ごとも
乗り越える力になるんじゃないでしょうか?
子供たちに読んでもらえるよーに,
どこか再版してくれないかしら?
こんばんは
純が休んでいる間 訪問してくださりありがとうございました
これからは巡回をとばしてください
もしよければこれからも仲良くしてください
カタカナの長めタイトルがネックでしたねw
タイトルが長くて覚えられんw
絶版はさびしいですねえ。
復刊ドットコムなどもありますけれど、なかなかね。
勿体ないことですよね…。
読みたい!と思う本に出会っても読めないなんて、切ないです。
「ムーンフリートの秘宝」もとても面白そうです。
図書館にならあるでしょうか?