Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


ドレスデンの博物館めぐり


3月5日 土曜日


 ドレスデンの今日の天気予報はテレビで見る限り雨。
 でも、いつものように朝から快晴で、
 フランクフルトで見たドイツの空同様、
 飛行機雲が何本も上空に軌跡を残しています。


 そうそう、
 昨日、ドレスデンの中心部を散歩していた折、
 大型書店を見つけました。

 私はどの都市に行っても、
 まず最初に本屋を見つけようとします。


 この本屋でカフカの原書を見つけました。
 村上春樹の翻訳本も見つけました。
 日本語の教科書も見つけましたが、
 こんな教科書で日本語を勉強するドイツ人がかわいそうです。


 さて、今日もまた、
 この中心街にストラッセンバーン(路面電車)にやってきて
 まず10時に、「歴史的緑の丸天井」と訳すしかない、
 ドレスデン城の宝物館の入館予約をとります。


 なんと、私が滞在しているゲーテ・インスティチュート、
 つまり、ドイツ語教育とドイツ文化の紹介機関は政府の文化事業ですので、
 博物館などの入場料は、
 ゲーテ・インスティチュートの学生証を見せると、すべてタダです!。
 つまり、ドイツ人の学生料金を通り越して、
 全部ただになってしまうのです。


 日本では学生料金があってもせいぜい割引程度ですし、
 そもそも日本国内の日本語学校は、
 その多くが各種学校の扱いですので、
 学生割引が使えません。


 このあたりからもわかるように、
 日本は文化的先行投資が足りないと思います。
 留学生にただで博物館に通わせても、
 それほど大きな経済的損失にはならないはず。

 むしろ、留学生のドイツ文化理解の一助になり、
 その結果、彼らが母国でドイツについて語ったり、
 観光ガイドとなって母国の人を多く引率してきてくれれば、
 十分採算がとれるではないですか?


 こう思う私も、まさかただになるとは思いませんでした。
 学生証を見せると博物館が割引になるらしいとは知っていたので、
 学生証を見せて、ドイツ語で、
 「ゲーテ・インスティチュートの学生です。いくらですか?」
 と聞いたのですが、帰ってきた答えは、「Frei」。
 つまり、「ただ」です。

 え? ただ? ええ!
 ところが、ちゃんと0€と書いたチケットが手渡され…、
 嘘ではないらしい。

 ドイツの学生のために、学生料金が別にあるのに、
 私たちゲーテ・インスティチュートの学生はタダなんですか?
 いいんですか~?


 いいんです~、ただなんです~。
 どの博物館にいっても、ただなんです~。感激!!

 とはいえ、「歴史的緑の丸天井」という宝物館は、
 時間あたりの入場制限があるので、
 入館時間の予約をとらなくてはいけません。


 で、14:30分入館の予約をとって、
 ドレスデン城のとなりにあるツヴィンガー宮殿に向かい、
 宮殿の中にあるアルテマイスター絵画館に入りました。

 ここも、もちろんただで~す。感激!! ☆\(ーーメ
 

 さて、この絵画館はヨーロッパ古典絵画の収蔵が充実してまして、
 ラファエロの「システィーナのマドンナ」、
 フェルメールの「手紙を読む女」を初めとして、
 デューラー、レンブラント、ルーベンス、ジョルジョーネ、
 ボッティチェリ、ベラスケス、エル・グレコ、

 ああ、そして、世界史の教科書で見たことがある、
 宗教改革のマルティン・ルターの肖像画もここにあるのですね。


 で、ですが、あまりにたくさん名画が展示されていて、
 正直言って食傷気味。

 つまり、江戸前握り寿司の後、
 しゃぶしゃぶ、天麩羅、すき焼き、うなぎ、
 と食べ続けているような状態で、
 こうも名画が多いと、ありがたみが薄れてしまいます。


 日本の展覧会って多くの場合が企画展じゃないですか。
 ○○の××がテーマの企画展という展示が多くて、
 その企画の目玉になるような展示を一点だけ、
 最後の部屋に置いたりしていることが多いように思います。


 ですが、この絵画館は一部屋に10点以上の絵画が展示されていて、
 各部屋がすでに一つの企画展示室になっていたりします。

 そして、そのような展示室が、
 3階にわたって、30以上もあるのです。

 
 しかも、建物がすばらしいんです。
 中央のドーム、遠近法に従って続く展示室。
 作品に飽きたら、ソファーに座って、
 天井や建物をぼーっと眺めているのも素敵です。


 さて、名画の回転寿司状態に、いささか食傷気味になりながら、
 「アルテーマイスター美術館」を一通り見終えて、
  (ただなんだから、また見に来ればいいし… ☆\(ーーメ)
 14時になったので、ドレスデン城の「歴史的緑の丸天井」へ。


 ドレスデンはザクセン公国の首都だったので、
 歴代の国王が財宝を集め続け、
 その結果、出来上がったのが、この宝物室だったわけです。

つづく。

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2011/03/09 22:11
こちらは朝夕、
外気がカチンと当たってくる感じがするほど、
冷え込んでいます。

しかし、ドレスデンは来る日も来る日も晴天続き。

室内にいる限りはぽかぽかですし、
先生は休み時間になると窓を全開して、
新鮮な空気を室内にいれようとします。

ヨーロッパの天気予報をテレビで見ると、
この季節、イタリアやスウェーデン、
そしてフランス西岸の方に
多く雲をみかけます。

おそらくイタリアの方が、
地中海からの湿った空気が北へと上がって来るので、
天候が悪いのでしょう。

イタリアの濃い霧はこの辺から生じているのですね。

ですが、ドイツのドレスデンは内陸ですし、
アルプスがしっかり地中海からの湿った空気を阻んでいるから、
このように毎日、晴天です。

でも、コート、帽子、マフラー、手袋なしで、
長い時間、外を散歩するとは、日中でも厳しいです。

夕方、日が落ちた後の寒さは、
「凍てつく」という表現がぴったりします。

InstitutoとかUniveritatなどは、
確かラテン語に出自を持つ言葉だったと思います。
ゲルマン語でも結構ラテン語系の言葉がありますよ。
ドイツ連邦共和国の共和国、republicも、
res publicaという古代ローマの共和政を出自とした言葉だったと思います。

博物館を3つ巡っただけで、
音を上げている私ですが、
この街には、まだまだ見るべき博物館があるのです。

東京都内にある、ちょっとした博物館が、
渋谷の徒歩圏内に全部集積している感じです。

しかも、美術館の中では、
許可を受けた学生が、
名画の目の前で模写することができます。

フェルメールの『手紙を読む女』があり、
その絵の前で「絵を見つめて、デッサンする学生」がおり、
その背後で、原画とデッサンを比べながら見つめている私たちがいます。

つまり、視線の入れ子構造ができあがっているのです。
では、その私たちを、今度は誰が見つめているのでしょうか?

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2011/03/08 00:57
お久しぶりです。
ドイツはまだまだ肌寒いのではないですか?

こちらは春と冬を行ったり来たり。

名画がありすぎると...
分かります。昔、Uffizziに行った時がそうでした。
最後は「出口まだ~??」(^_^;

ラテン語とゲルマン語って共通点がほとんどありませんが
「インスティチュート」共通だわ!
ISTITUTOイスティトゥート
「教育機関」というような意味よね?
アバター
2011/03/07 23:32
ただ、だと何回も足を運べるのでいいですね。
贅沢な空間を楽しめて羨ましいです^^
なにか安寿さんも描きたくなったのでは?



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