ドレスデン城の宝物館にて
- カテゴリ:レジャー/旅行
- 2011/03/09 22:18:40
3月6日 土曜日
ドレスデン城の宝物室にて
「峰子ちゃ~ん」
「なーに、ルパン」
「ここのお宝も俺たちで全部いただいちゃおうぜ」
「いいわよ、ルパン。でも、私の取り分は半分ね」
なんて会話がぴったりするような、
ザクセン公国王様の宝物コレクション室。
その名も『歴史的緑の丸天井』に入りました。
(日本語のオーディオガイドを借りることができます。)
ザクセン公国の首都ドレスデンを一大都市へと発展させたのは、
アウグスト強王(1670-1733)という、
だいたいフランスのルイ14世と同時代の人なんですが、
この王様、
欲しいものは女性でも宝物でも次から次へと
強欲にコレクションしてしまう人だったようで、
その結果がこの宝物室のコレクションとなったわけです。
この宝物室があるドレスデン城も当然、
ドレスデン空爆で被害を受けているのですが、
10ぐらいある宝物室の内、
爆撃の被害にあったのは数室だったらしく、
結構、宝物が残っています。
しかも、この9つに分かれた部屋は、
博物館の展示室ではなく、
文字通り王様の財宝コレクション室として作られていますから、
豪華絢爛、あきれて開いた口が塞がりません。
部屋の壁を鏡や化粧板で装飾し、
その壁に小さな棚が付けられていて、
そこには金銀で作られた置物、
象牙の彫刻、
オウム貝やダチョウの卵を素材にした装飾品などが置かれています。
他にも大きな銀食器や琥珀や瑪瑙で作られた置物、
螺鈿や珊瑚の装飾品などが部屋の一角を占めていたり、
別の部屋に移れば、
エメラルド、ルビー、サファイア、ダイヤモンドがちりばめられた、
王の装飾品の数々。
『ルパン三世 カリオストロの城』の強欲な悪役。
彼のような国王が文字通り存在していて、
そんな人間が一人でこの部屋に籠もって、
にやにやしている姿が浮かびます。
そして、その点で、
宝物の美術品・工芸品としての価値は高いのでしょうが、
「うわ~、趣味わる~」
と思わず、私は引いていたのでした。
うん、確かにこの部屋は類い希なる宝物コレクションの部屋です。
ですが、同時に悪趣味の点でも類い希です。
収集品の集め方に、強欲と顕示欲しか感じられないからです。
ヨーロッパの王様って、
こういう趣味の人たちだったんですね。
可哀想な人たちだなあ…。
『なんでも鑑定団』に鑑定を持ち込めば、
次から次へと目も眩むような値段がつくことでしょうが、
しかし、宝物の価値を値段で計り
宝物の収集を誇ること自体が、私には悪趣味。
(この宝物室にはちゃんと財産目録があったそうです)
アルテマイスター絵画館といい、
この『歴史的緑の丸天井』といい、
コレクションがあまりに多すぎて、
なんだか私は有り難みを感じません。
床の間に一つだけ、
名もなき小さな一輪挿しがあるほうが、
よっぽど趣味が良いように思うのですが…。
殊、美的感覚において、
私は、侘び寂び派なのかもしれません。
この後、別室となる「新しい緑の丸天井」にも、
入ってみましたが、
はあ~、疲れた。
今日は、美術品・芸術品・宝物酔いの一日です。
「ねぇ、ルパン。
宝物たちを助け出してあげて。
あんなところに閉じ込めて、
あんな王様だけに可愛がられているなんて、
宝物が可哀想よ」
私は、「峰不二子」の意見に賛成です。
権力誇示になってしまうんですね。
でもじかに見てみたいです。