Nicotto Town


ひまわり畑を眺める一匹猫


招き猫の闘病記 ③

翌朝、招き猫は目覚めました。
良かった、生きてた、死ぬかと思った。
私、どんな格好をしているのかなぁ。
いろいろ確認してみたりする。
”お○んちん”の先っちょに管が付いている。
手術の傷は下腹部のようだ。
腕にはまだ、点滴のチューブがはいっていた。
そこで決心する。恐る恐る通常は在るべきモノの部分を触ってみる。

無い。

わかっていたはずなのに、現実を目の当たりにしたショック。
「もう、ヤツとは二度と会えないんだな。そう言えばさよならも言えなかった。」
等と、なんとなく少しセンチメンタルな事を考えてしまいました。
その日のお昼から、食事が出るようになりました。
もう腹ヘリコプターです。
翌日から、歩けるようなら歩いていいという許可が出ました。
でもまだ傷が痛みました。
ちょうど玉袋の下あたりに、ドレンという管が入っていました。
中の余分な白血球を外に出す役割のものです。
その、ドレンの先の白血球が染みたガーゼの交換と、手術の傷の消毒が、手術後の私の毎日の日課となりました。
当然、その処置は看護師さんがやるわけです。
そう、苦労して自分で剃毛した割に、私の重要な部分は毎日、日替わりで担当の看護師さんの目の当たりにされてしまう運命となってしまったわけです。
ところがこの処置、最初のうちこそこっぱずかしいのですが、慣れと言うのは恐ろしいものです。
数日たつと、「おねがいしま~す」ってなもんです。
ガーゼが汚れて気持ち悪くなると、こちらから看護師さんを呼んだりします。「ま~だ~?」とか言って。
人間の順応性って恐ろしい・・・。

術後、はじめて家族を交えて先生との話合いが行われました。
ムンテラと言うんだそうです。
「摘出した患部の病理検査を、群馬大学に依頼しました。その結果で今後の治療を決定しましょう。良性の腫瘍だった場合は、治療の必要はありません。そのまま退院していただきます。悪性だった場合は、化学療法という治療を行います。はっきり申し上げると、抗がん剤を投与します。化学療法の治療期間は3ヶ月を予定しています。」
「・・・先生の仰るとおりにいたします。」
もう、これしか言えません。
「先生、悪性という結果になる確率は、どの位なのでしょうか?。」
という質問の妻。
「まあ、私が見た所、ほぼ悪性といっていいでしょう。でもね、招き猫君はラッキーだったんだよ。この病気の発症率は、10万人に一人位なんだけど、ほとんどの場合痛みが出ないんだ。痛みが出たから診察に来たんだろう?。手遅れになると、肺やリンパ節に転移する可能性が高いんだ。君は本当に運がいいんだよ。」

ムンテラが終わり、カミさんと話しをしました。
「俺、運がいいんだってさ。そんで10万人に一人だって。年末ジャンボ手術だったんだ。」
「フフフ、宝くじ買おうか。」
「お前さ、俺がいない時に先生になんか言われてない?」
「何を言われるのさ。」
「いや、本人には言わないけど、死ぬかもとか、助からないとか・・・。」
「大丈夫だよ。あの先生は何も隠していないよ。ほんとだよ。」
「そーか・・・なぁ、約束しねーか?この先、もしも先生にそういう事言われたら、俺に言うって。俺さ・・・どうせなら戦って死にたいから。」
「わかった。約束。」
シロートの浅はかさですが、私はこの時、本当に死ぬ事を考えました。

3週間後、術後の経過も良く、ほとんど普通の生活が出来るようになりました。
そしてようやく病理検査の結果が出ました。
再びムンテラが開かれたのです。
「病理検査の結果が出ました。病名は、ノンセミノーマ、悪性でした。化学療法の内容を説明します。3種類の抗がん剤を5日間、点滴によって投与します。その後3週間の体力の回復を待ちます。これを1クールとし、合計3クール行います。この化学療法では副作用が発生します。髪の毛が抜け落ちる事、白血球値が下がる事、食欲が落ち吐き気をもよおす事です。つらい治療になりますが、招き猫君、がんばりましょう。治療は3日後から開始します。2日間の仮退院を許可します。お家でゆっくりしてきてください。」
今は治療の事は考えず、例え一時的にでも家に帰れる喜びを噛み締めよう。

つづく・・・・・・・

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2009/04/13 17:13
さぶ真凛さん
お返事遅くなりました。。。

そうですか、看護助手さんですね。
私が入院している時も、大変お世話になりましたよ。
シーツの取替えとか、身体を拭くタオル等を持ってきて頂きました。
いずれにしても医療に携わるお仕事ですから、大変だったと思います。
今はもうやめてしまったのですか?

はい、手術を行った時期は10月でしたけどねぇ・・・。
私のケースでは、運よく痛みが出てくれたみたいです。
中で炎症を起こしてくれたおかげで、早期発見出来たようです。
炎症のおかげなんて、ちょっと気分は複雑ですねぇ・・・。
私の手術の縫合は、ホチキスみたいなので止めてありましたね。
おかげで簡単に抜糸できたようです。。。
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2009/04/10 19:24
先にちょっと説明というか訂正というか
わたしは看護師ではなく、看護の助手をしつつ介護のお仕事をやっていたんですね
なので医療行為は一切やってなかったのです。

年末ジャンボ手術でしたかぁ~w すばらしい表現力ですねぇ~
早期発見出来てよかったですよぉ
不幸中の幸いとはきっとこのことを言うのですね。
わたしは少しだけでも縫ったような経験すらないので痛みが想像しづらいのですが
術後すぐ歩いていいってよくあるみたいですね。すごく不思議なんですが。
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2009/04/10 09:29
ヒナタくん
はい、片方で作っちゃいました。
奇跡の子かなぁ?

私たちはお互いに治療も看病も体験しました。
妻は無念でしたけどね・・・。
両方を体験できて、残された私はいい勉強になりました。
だからきっと、妻は神に選ばれたんだって思っています。。。
「二艘の船」ですよ!
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2009/04/10 00:09
そっか。片方が息子さんを!!
片方取ると出来にくいのかと思う人達の救いだね!

でもやはり本人が一番頑張らないといけないから
大変だよ。でも奥さんが支えてくれたみたいで心強かったと思うな。

こういうの聞くと夫婦って支えあいながら成り立つんだなぁって思うよ。
                                               まさに夫婦愛。
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2009/04/09 00:29
イ~バさん
化学療法・・・辛いですよ~。
しかし、私が救われたのはこの治療をすれば、殆どの場合根治すると言う事を知らされたからです。
どんなに辛い治療でも、治るのであれば耐えられますよ。。。
この記事を読んでいただき、イ~バさんが何かを感じていただけたら、私はとっても幸せです!
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2009/04/09 00:27
にゃんこ☆☆さん
そうですねぇ~ドキドキしてください!
はい、見ている方だって凄く辛かったと思いますよ。
実は私は、この病気の6年後にやはり癌で妻を失う事になります。
癌という病気は、死と結びついてしまいますね。
でも、治療法が確立されているものであれば、それ程怖くない場合もあります。
今回書いた癌も、怖くない方のひとつのようです。。。
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2009/04/09 00:22
ヒナタくん
本当に2個あって良かった~。
実は息子はこの手術の後に出来た子供なんですよ。
残りの1個ががんばってくれたんですねぇ。。。
そういう意味では、やはり乳癌の方が辛いかもですね。
膨らみが見える訳ですから。
私の場合、見せたら検挙されてしまう所ですからねぇ・・・。

やはり治療する者も看病する者も、両方それぞれが辛いでしょうね。
辛さの種類が異なりますので、どっちがっていう問題じゃ無かったです。
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2009/04/09 00:10
化学療法はつらい治療らしいですね
私もこの年になると病気が人ごととは思えませんし気になります
なんだか、いろいろ考えさせられました
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2009/04/08 21:46
わくわくがなくなって、ドキドキになってきました。
化学療法はご本人もそうですが、傍で見ている方もつらいですね。
入院、手術、悪性の可能性・・・となると「死」を考えちゃいますね。
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2009/04/08 21:22
ホー。:溜息
早期発見出来て良かったね(´▽`) ホッ
あとタマ二つあって良かったね。
それにそこは普段見えないしね。

でも...これから辛い治療がまた始まるのかな。。。
見てるのも辛いけど本人が可哀想で可哀想で。。。
今 招き猫さんいて良かったよ!!
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2009/04/08 17:28
miriさん
はい、この時はもう笑えなくなってきていますねぇ。
治療は言葉では言い表せないほど、辛いものでしたよ~。
今は本当に元気です。
まぁ、ちょっと内臓脂肪が多いと言われておりますが・・・。
転移していたら、またあの治療かと思うとちょっと憂鬱ですものねぇ。。。
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2009/04/08 17:26
西の魔女さん
あ~私は結構真剣に観てたんですよねぇ、あの番組。
自分が食べたい方をマジ応援しておりました。
負けるとそりゃもうがっかりで・・・。

はい、今は抗がん剤治療も外来らしいですねぇ。
妻も外来で抗がん剤治療を受けておりました。
8年前よりもいい薬が出ているようです。。。
副作用も今の方が全然軽いって聞きましたよ~。

はい、5年フォローを受けて転移は見られなかったという結果でした。
おかげ様で生還を果たせましたよ!
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2009/04/08 16:01
・・・まぁ><
だんだん笑えない展開に・・・(ノ_<。)
治療はとっても辛いものだったんでしょうね。。。
今は元気なんですよね?
転移してなくってほんとよかったですねぇ。。。
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2009/04/08 13:38
久々に腹ヘリコプターで爆笑ww
あの番組、結構半信半疑ながら流し見てたので・・・・

う~~ん、今は治療できる環境が整ってきたこともあり身近にも抗癌剤治療の例はいくつかありますが・・・
ホントにつらいもののようですね(´;ω;`)
副作用がね・・・・ムカムカ感やダルさや焦燥感がハンパじゃないという訴えが、気を使った笑顔で余計切なかったりね・・・

とりあえず転移が無かったのは何より幸いでした。肺もリンパ節もヤバ過ぎですから。
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2009/04/08 10:51
ようこさん
~~~ヾ ^∇^おはよー♪
う~ん、抗がん剤は辛かったなぁ。
次回更新で、その辛かった治療を振り返ります。
それとね、治療をしている私も辛かったけど、見ているひまわりもきっと辛かったと思う。
それはその後の、ひまわりの看病でよくわかったんだ。
きっとひまわりも辛かったんだろうなぁって、本当に涙が出たんだ。。。

本当にね、生還できた事を感謝しています。
こうしてたくさんの友達も出来たし、ようこさんとも会えた。
生きるってやっぱり、素晴らしいよ。
私がようこさんに言うまでも無いけどね~。

お玉ちゃん、一人ぼっちになってしまいました。
一人でがんばるお玉ちゃんが、愛おしくてたまりませんよ~!
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2009/04/08 10:38
お兄ちゃん、おはよ☆
抗がん剤は辛いよね。。。
私は経験ないけど、義母見ててそう思ったんだ。。。
それに病院勤務の頃も見ていたから。
私が思っている以上に辛い闘いだと思う。
お兄ちゃん、助かってよかった。。。
本当にそう思うよ。
だってそうじゃなかったら会えなかったもん!
大切な彼女とも会えなかったんだよ!!
お兄ちゃん、本当によかった。。。
ひまわりお姉ちゃんは隠し事はできないタイプだと思います。
疑ったらダメだけど、気持ちはわかります。
だって、私ただの胃潰瘍で「先生、本当に悪性腫瘍じゃないんですか!」と詰め寄った経験者ですから(^_^;)
お玉ちゃんも頑張ったね。
おりこうさん♪
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2009/04/08 10:38
saloさん
お久しぶりでございます。。。

はい、ずいぶんと昔のお話ですけどね。
闘病記を書いております。
玉なんですよ、はい、玉。。。
あんまり連呼しないよーに。
読んでいる方が恥ずかしくなりますから・・・。

健康でいると、そのありがたさが薄れてしまいますね。
病気をすると本当に、健康のありがたさを実感いたします。
続きをお楽しみに~!
アバター
2009/04/08 10:34
yuckyさん
はい、もうすっかりですよ~!

「腹へりこぷたー」は、「どっちの料理ショー」というかつてやってた番組で
スマップの草薙君が言ってたものです。
オリジナルではないので、サークルでは発表しません。。。
そこはほら、こだわってみますよ。
アバター
2009/04/08 10:32
くぅみん
うん、心配しなくていいよ~。
もう根治してるからね。
治療は辛かったけど、もう大丈夫。。。

本当に健康に感謝だね~。
治ったからくぅみんとも出会えたんだ!
アバター
2009/04/08 10:12
お久しぶり@
・・・にインしたら、闘病記が・・・びっくりしました。

抗がん治療まで必要なんて・・・悪性のだったなんて・・・
玉だったなんて・・・?!
玉って・・・@

今、親父ギャグ交じりで書けることがほんとよかったです。
健康って病気にならないとわからないことだと、つくづく思う今日この頃ですが・・・
健康に感謝ですよね。

しかし、猫さんの生命力凄い!!!

抗がん治療が始まる続きが気になります・・・
アバター
2009/04/08 10:00
うーむ。とっても恐ろしい病気を体験したんですね。
いまは元気!?でよかったですw

てかー。
「もう腹ヘリコプターです。」
アハハ (( (*^▽^*)
これ、はつみみいです。
ぜひ、サークルにカキコしてくださいなw
ふふw

アバター
2009/04/08 08:54
>ノンセミノーマ 悪性  
そうだったんだぁ(。♋ฺ‸♋ฺ。)うるるる♡ 
辛い化学療法の副作用があったんだね 良く頑張ったよね
本当に健康でいられることが感謝でならないよ。
ねこぴょん 本当に元気になってくれてありがとうね。。
ひまわりさんも 辛かっただろうな・・って (/へ\*)))



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