小さな春への前奏曲(終)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/04/09 09:28:02
4月になり、私たちは2年生になった。
前田君は一応文系で、私は理系だから、同じクラスにはなれないのが残念だった。
放課後、池先生に用があり、音楽室へ行った。でも、誰もいない。
外の満開の桜を眺めて、(小さな春への前奏曲)を近くにあるピアノで弾いた。いつもはミスが多いが、今日はすんなり行っている。満開の桜があって、いい雰囲気に浸りながら弾ける。
ミスなくすんなりと弾き終えた。と、その時
(パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ)
「ん?拍手?」
「中田さんもピアノやってるのは聞いたけど、うまいじゃん。」
「ま、前田君!?いたの?」
「ああ、さっき入って来たらちょうど音が聞こえて。中田さんもその曲弾けたんだね。」
私は、あのことを言いたくなった。そう、この曲を弾こうと思ったきっかけ・・・。
「これ弾こうと思ったのは、前田君のピアノを聴いたからだよ。」
「え?」
「去年、ここに来た時に、前田君がこの曲弾いているところ見たんだ。すっごいきれいな曲だし、前田君が弾いてる姿もすっごく魅力的だった。あの時、もう夢中になってさ。それで、この曲弾きたい思って。」
「あ、見てたんだ・・・。あの時・・・。」
「うん、それで、もう一回前田君がピアノ弾くところ見たいってずっと思ってたんだ。私前田君が好きだから。」
「え!?」
(あっ!私・・・、思わず余計なことまで・・・。)
少しの間硬直してしまい、まずいことを言ってしまったと思った。冷静になって考えてみれば、前田君は彼女がいるんだった・・・。
「あ、ああ、あのっ、ごめん・・・。今言ったこと忘れてくれていいから。わ、私、先生探しに行く。じゃあねっ!」
「ま、待って!」
と、前田君は私の手首をつかんで引き止めた。
「あの、俺も実は、1年生の時から中田さんのこといいなぁって思ってたんだ。だから、その・・・。」
「え?でも、彼女がいるって・・・。」
「知ってたのか?」
「あ、いや・・・噂でそう聞いて・・・。」
「彼女とは別れたよ。高校入ってからすぐ、うまくいかなくなって。中田さんを好きになったのはそれからだよ。」
(え、ええええええ!)
なんて言ったらいいかわからなくなって、ボーゼンとした。でも、すっごくうれしい!!
「ねぇ、そういえば、俺のピアノもう一度聴きたいって言ってたよね。今弾いてやろうか。」
「あ、うん!前田君のピアノ聴きたい。」
「これからは和彦って呼んでよ。俺も、ファーストネームで呼ぶからさ、明江。」
あ、明江・・・。いきなりファーストネームで呼ばれてなんだか照れくさくなってしまった・・・。
「じ、じゃあ、和彦君。弾いて。小さな春への前奏曲。」
「はい。」
優しいメロディーが音楽室に響き渡る。
この、和彦君が弾いていた(小さな春への前奏曲)は、その名のとおり、私に訪れる「春」への前奏曲だったのかもしれない・・・。
いいですね〜。ちょっと青春をやり直したくなりました(^ ^;
他のお話も楽しみにしていますね(*^ ^*)
昨日CDを借りてくる事が出来、小さな春の前奏曲を聞きながら
今コメントを書いています〜。
冬から春への変化…素敵な曲ですね〜(*^ ^*)
他の曲も素敵な曲がたくさんなので、お気に入りのCDになりそうです♪