<短編> 双子の恐怖
- カテゴリ:自作小説
- 2011/03/27 18:03:14
ある所に、双子が生まれた。
目も鼻も口も、すべてがそっくり同じだった。
気味が悪いほどそっくりな双子を、母は、大事に大事に育てた。
~幼少期~
初めてはいはいした日も同じ。
初めて言葉をしゃべった時も同じ。
食べ方も同じ。
しゃべる言葉も同じ。
好きなおもちゃも同じ。
~幼稚園~
服も同じ。
髪型も同じ。
好きな遊びも同じ。
好きな絵本も同じ。
好きなお菓子も同じ。
~小学校~
ランドセルも同じ。
かけっこの早さも同じ。
身長も同じ。
体重も同じ。
好きな芸能人も同じ。
~中学校~
制服も同じ。
自転車も同じ。
行く道も同じ。
帰る道も同じ。
――――――そして、
好きになった人も同じだった。
このことを二人で相談した結果、一番いい方法を思いついた。
『半分こ』することだ。
思いが決まると、好きな先輩を体育館裏に呼びだした。
「何の用かな?」
「先輩、前から好きでした。つきあってください。」
「そんな・・・・二人の子に同時に言われてもなあ。両方とはつきあえないよ。」
「だから、先輩が半分になればいいんですよ。」
「何を寝ぼけたことを・・・・・」
あわてる先輩の肩を、二人がつかんだ。
「せーのっ」
「うあああ・・・・・・」
悲鳴を上げる間もなく、真っ二つにされる先輩。
二人は、それぞれの先輩をもって、満足げに去って行った。
その後、やがて二人ともその先輩と結婚し、
双子を産んだ。
この悲劇が永遠に繰り返されることを、
生まれたばかりの双子が、知るはずもなかった。
怖いですねww