しばらく不調をかこっていたけど（すみません、ご無沙汰しました）、多少上向いたので書店に寄ってみた。
気持ちの方も浮上したくて。
しばらく放置した生活まわりを考えると憂鬱になって当然ではあるけど。

で、店頭の新刊の棚に妙な物を見つけた。
『這いよれ!　ニャル子さん』
……はいぃ?
数瞬、自分のSAN値を疑ったよ。

ラノベで表紙絵はいかにも萌え系なカワイイ女の子。
這い寄るニャルって、あれだよね?　無貌の混沌、ナイアルラトホテップ。
そうですか、そこまで来ましたか。

ホラー小説やその周辺に、クトゥルー神話、と呼ばれる作品群がある。
作家H.P.ラヴクラフトが書いた小説をもとに、その友人などが設定を共有して作った架空の神話大系で、後世の作家もその設定で作品を書き継いだ、まぁシェアード・ワールドみたいになっている。
ヲタクな創作界隈のモノが好きならば、（気づいているかどうかは別にして）直接・間接に影響を受けた作品にまったく触れたことがない人はすくないはずだ。
で、ナイアルラトホテップ（ニャルラトホテプ）はそれに登場するモノだったりする。

元来の〈コズミック・ホラー〉なんてところから離れた作品も昨今はガンガン作られてはいて、妙なモノも多々ある。
そも、最初にわたしが読んだそっち系の作品って菊地秀行の『妖神グルメ』だしw
真面目なミステリファンが怒った、殊能将之の『黒い仏』みたいな話もある（あれは怒るか笑うかという作品だけど、全力でふられているそっち系ネタを知らないミステリファンは、やっぱり、怒っちゃうのかなぁ……）。
最近ではウルトラマンでまでそっちネタがあった（未見です）らしいけど、ニャー様萌えキャラ化まで来ようとは思わなかった。
ゲーム『機神咆吼デモンベイン』ではネクロノミコンの原本が美少女になって登場していた。いまさら驚くようなことではないのかも知れないが。
ラヴクラフトは草葉の陰でどんな顔をしてるだろうか?

真面目なラブクラフティアンは『魔界水滸伝』ですでに文句言ってたし、もはや嘆く言葉もない状況、なのかもしれない。
こちとらラヴクラフトは短編いくつかしか読んでいないし、HPLより彼が勝手に傾倒していた男爵さまの方が馴染みぶかい人間なので、「浸透と拡散」するなんてすごい認知度だなぁとむしろ関心してしまうのだが。

個人的にかくれた莫迦クトゥルー話ならK.W.ジーターの『悪魔の機械』（深き者どもがひっそりダゴン信仰していた）をお勧め。
クトゥルー話はまるっきり本筋じゃないし、単に莫迦なスチームパンクが好きなんですけどね。

結局、あんまり驚いたので『這いよれ——』買いました。
萌え話っぽいので読み切れるか自信ないけどね。
ラムレイの『タイタス・クロウの帰還』、翻訳出たのに買い損ねてるのになぁ。
こんなだから積ん読が増えていくんだよ、まったく……