「　がんばれ。　」

　深く考えずに使ってしまった、その言葉。

　あ、

　と思った瞬間にはもう手遅れで。

　

　僕が一番知っていたはずなのに。

　君が一番努力していたってことを。

　誰も気がつかない空気の変化を敏感に感じ取って、

　いつも笑っていた君に。

　僕は気づいていたはずなのに。

　
　
　いつも楽しそうに笑う君。

　ふとした瞬間に寂しそうになる笑顔。

　苦しくても、辛くても。
　
　ずっとみんなを支えてくれた。

　そしてみんなはそれに甘えて。

　君は全てを抱え込んだ。



　　
　でも、きっと。

　いまさら僕が「がんばんなくてもいいよ。」と言ったって、

　君は困惑するだけなんだろうね。

　だってほら。

　今僕に｢がんばれ。｣と言われた君は

　やっぱり困ったように笑って

　僕を許そうとしてくれる。

　僕がなにも考えずに使ってしまった言葉は、

　無防備な君を傷つけてしまったはずなのに、

　君は、　ただただ、微笑むんだ。



　君はむかし、僕に言ったよね。

　「　人を傷つけるのが怖い。

　　私という存在が私以外の誰かを

　　少しでも傷つけるのが、とてつもなく恐ろしい。　」

　
　子供のように大声で泣いてたね。

　僕はそんな君を、守りたい。と思ったんだ。



　がんばってもいいよ。

　君がそうしたいんなら。

　力を抜かずに、走ればいいよ。

　僕はそんな君を応援するから、さ。

　僕は君の味方だよ。

　ずっとずっと、君のそばにいるよ。

　だから。

　泣きたいときは、僕に頼ってよ。　

　一人で抱え込んだりしないでよ。

　僕だって、君を支えられるんだから。

　僕だって、君を支えたいんだから。