ダリ劇場美術館
- カテゴリ:レジャー/旅行
- 2009/04/24 15:22:31
シュールレアリズム絵画で有名な画家の一人、サルバドール・ダリ。
頂点が禿げている長髪に、くるっとカールして跳ね上がった髭、自らを天才と名乗り奇抜な恰好で記憶されている人も多いかもしれない。米国での成功を機に、ピカソと同じく比較的若い頃から成功し富を得た画家だ。
ダリ劇場美術館が、バルセロナから列車で2時間弱のフィゲラスという小さな町にある。世界中のダリファンが訪れる観光名所でもある。
皮肉にもずっと雨だったバルセルナも、フィゲラスに出かける日は雲が薄くなって明るい日差しが微かに透けて見えた。
バルセロナのサンツ駅で切符を買い、地下から発車する列車に乗る。二人掛けのロマンスシートで日本に似た車内だ。列車の旅は車窓が楽しみだ。
異国となると木々や家々の屋根の違いも発見の連続だ。
ヨーロッパは都市の僅かな周辺以外は草原や森、緑が果てしなく広がる。フランスならパリ以外はみんな田舎だと言っても過言ではないほど、穏やかな風景が広がっていく。
地上に出る。
「……?!」
見にくい。何だ!茶色いシートを被せたみたいに濁った景色。窓が異常に汚い!地下だったから気付かなかった。周辺の窓を見ると似たり寄ったり。あまり洗車しないのね。
見えにくい車窓の文句を胸の中に押し込んで、フィゲラスに着く。
観光客目当ての店が立ち並ぶ、小さな町のひっそりとした商店街らしき路地を抜け、美術館の案内表示を頼りに進んでいくと、入場券売り場にはフランス語でワイワイと騒ぐ中学生らしき集団。
ああ、ここも修学旅行生か。ユーロ圏内だとパスポートなしで自由に移動ができるようになったせいか、国境を越えてのバスツアーが盛況のようだ。
美術館の外壁は赤、壁の上に卵のオブジェが並んでいる。奇抜なダリらしい装飾だ。入口の広場周辺ものっぺらぼうの奇怪な人らしき彫像が幾つもあり、ダリ劇場へようこそ、とばかりで迎えてくれる。
中庭を挟んだ円形上になった構造で、ぐるぐる回りながら5階までダリの作品を存分に鑑賞できるようになっている。快楽主義のダリらしく、至る所に騙し絵的な仕掛けがある。
ダリの作品で埋め尽くされ、質、量とも存分にあり、ダリそのものを知るには恰好の美術館であることは間違いない。
メインの中央ホールには巨大なのっぺらぼうの人物画飾られている。
一方にはリーンカーンの顔、近づくにつれダリ夫人のガラの裸体の後ろ姿
が現れてくる騙し絵。
ダリの芸術はガラ賛美に尽きるのではないか。ガラばかりをどれだけ描いて
いるのか、年上の妻なしにはダリは生きていけなかった。
ダリとガラの愛の世界、それを見せられている気がする美術館。
10歳も年上で美人とは言えないガラ、ダリのすべてであったガラ。
これは究極のナルシシズムも結晶。死してなおダリはガラとの愛の日々を
人々に記憶させようとこの美術館を創ったのだろうか。
オブジェや絵画に登場するガラは誇らしい女王のようである。
そして一階の奥、黒いカーテンで仕切られ、ダリがデザインした宝飾品が
飾られるケースを見ながら進んでいくとつきあたる。
大理石に刻まれた文字
「ダリここに眠る」
興味をそそられたガラ。ちょっと調べて見た。
幼い頃から突出した画才のあったダリだが、精神的には繊細でヒステリー
の発作を抱えていた。
一方ガラは詩人の夫とともに芸術家を発掘することに喜びを見出して
いた。夫とマックス・エルンスト(シュールレアリズムの画家)との三者
で共に暮らす奔放な生活をしていた。
ナイーブで才能豊かな若いハンサムはダリと出会い、ダリと生きることを
選ぶ。ダリは幼い頃守ってくれた優しい母の面影をガラの中に見つけた
のだろうか。ガラすべてというほどぞっこんになったらしい。
ガラは褒め上手で、商才もあり社交好きの名プロデューサー。
ダリが苦手とした世間を見事に引き受け、彼の才能が開花できる
環境を整えた。ガラの売り込みでダリは名声を得ていく。もちろん富も。
欲したのはガラだった。
ガラが望む限りダリは描き続けた。ダリにとってガラは女神だった。
人は老いていく。ガラは旺盛な女性だった。老いてなお男性を求めた。
ダリが与えてくれなくなると、富と名声を利用し若い男性を浮き名を流し歩いた。それでもダリにとってガラがすべてだった。
フィゲラスからバスで1時間行くとカダケスという漁村がある。(行けなかった)
ダリがガラの為に買った住居、お城がある。今はダリ博物館になっている。
ガラは一人で住んだ。ガラが許可し呼ばれた時しかダリは訪れることが
できなかったという。
続きます。
ダリは心のままに生きれた人、
ある意味で大人にならなくてもよかった、
幻想的な絵の世界を観ていると
そう思えてきます。
ガラ母さんのお陰なんでしょうね。
手毬さん羨ましいですよ^^
ダリにはそういった側面があったんですねー。
そういうダリの心境には正直憧れるものがありますww
うーんやっぱりますます見てみたくなったなーwいいなー^^
honeyさん★コメントありがとうございます。
ミロの美術館や、米国在住のスペイン画家ソローリャ美術館。(作品が大きいが、スペインの光を感じる画風)
いろいろあると思います。現代美術は他のフランスやドイツの方がいいかもしれませんが
中世、スペイン大国が君臨した時代の物は充実しています。
ゴヤ、ムリリョ、ベラスケス、エル・グレコなどはたくさん観ることができました。
意外なくらい可愛い額も100円均でありますしね^^
絵葉書を飾っても素敵です^^
溶けているような時計^^ あれのマグネット買ってきました。
自らを天才と公言していたけれど、デリケートな人だったのかもしれませんね。
とにかく強いガラの庇護のもとに作品を描き続けたように
思えました。そういう意味では理想の女性に巡り合えたということでしょうね。
晩年、寂しいこともあったようですが、すべてがうまくいくことは
やはりむずかしいものです。
絵画も数を見ていると、なんとなく良さがわかってきて
いい作品で足が止まるようになります。
骨董品でも、まず本物を見よといいますね^^
好きな画家が見つかると楽しく美術館に行けるかもしれませんね。
ガラとダリはいずれにしても運命の二人でした。
ほかにも調べればいろいろ見るものがあるはず。
ダリのこんな美術館があるとは知りませんでした。
関係ありませんがわたしの父というのが変態でw
玄関にダリの「やわらかい自画像」などを掛けていました。
複製というよりもポスターでしたが。
わたしの代になって、ボス(ボッス?)に掛け替えましたw
そいえば家の中に絵を一枚くらい飾ってもいいなといま思いました。
ダリはスプーンを持ち歩き、眠りに落ちる一歩手前に発想がひらめく、奇人というか天才ですね。
ガラのことは勉強不足ですが、ダリらしいですね!
その昔、女の子からもらった
マチスだったかな?の絵葉書・・・
それに、反応しようとして
にわかに美術館に行ったのが、
唯一の美術館訪問だったかな?
あなたが、示してくださった
ダリとガラの関係は・・・・
非常に興味深いですね。
繊細なるダリか・・・
知りませんでした。
写真でしか見たことなかったけど
そんな一面があったんですね。
勉強になりました。
ダリ芸術劇場はちょっとした仕掛けがいろいろされているんです。入るときは気付かなかったけど
出る時に人の顔で口が出口になっているとか、階段の横にけったいな巨鳥がいるとか
何気ない絵も騙し絵になっていて、意味が隠されているんですね。
ダリの絵は確かに色鮮やかな物も多いですね。やはり風土の日差しの強さにも関係するのでしょうか。
哀しいくらいの蒼、鮮やかな赤い唇、バラ、足長の像、金色の、のっぺらぼう彫像、
細部の描写が丁寧です。絵画も多いのですが、それ以上に彫像やパフォーマンス的なオブジェが
たくさんあります。これの方が奇抜で目を引きました。
絵画は淡い色調の物もありました。ダリらしくない普通の景色なども。試行錯誤したんでしょうね。
この美術館は、絵画の量もたくさんあります。
全体を観ての感想は、ガラありき、ガラに捧ぐ。でしょうか。
見えなものを描き続けたダリの繊細な感情を、ガラの強靭で強烈な個性が支えたのでしょうね。
ガラに出会わなければ、絵が少し巧いオタク青年として
一生を終えていたか、自滅していたかもしれません。
それを一番自覚していたのはダリ自身だったんですね。
絵画というよりは、ダリのパソーナリティを感じさせる美術館だったように
私は思えました。
お国柄それぞれというところですね。
実は日本でいう新幹線のスペイン版にも乗ったのですが
これまた、薄汚れているんです^^;
ダリとガラの関係は他人がどういおうと
ある種の運命的な関係だったように思えます。
ダリがお好きですか^^ダリのデッサン力はすごいものがありますね。
細部が見事に描かれています。
のっぺらぼうの人間は、ヨーロッパ的な悪夢みたいな感じでしょうか。
男の人は結婚すると母性を求めるようですね。
そういいます。
繊細なダリはガラによって世界に認知されたとも言えますが
晩年はやはりさびしかったようですね。
ダリの絵は色使いが素晴らしくて、夢を見ているかのような独特の雰囲気があり、
見ていると吸い込まれるような感覚になります(。◠‿◠。)
手毬ちゃんが見た印象はどうだったか是非是非聞きたいです^^
私は映画好きなので、映画の話になってしまうんですけど
ダリがアメリカで過ごした8年間と破天荒な生き様、奥様のガラとの愛を描いた
「ダリ」という映画が、今ハリウッドでつくられているようです。
それも見てみたいと思っています(o^-^o)
せっかく雨模様から曇空へと
変わったのに窓が汚く、残念
ですね^^;
ダリとガラの関係は読んでいて
面白いなと感じます^^
ああいう奇怪な感じのものに興味を魅せられたのは彼の作品の影響です^^
始めはピカソも若い頃の作品(特に青の時代のころ)の写実的なものが好きだったんですけど、
ダリの作品をむさぼるうちにピカソの後期の作品にも興味を持つように☆
男の人は女性に母の面影を求めるものなのでしょうか?
母の愛を求め続けたダヴィンチを思い出しました。
ヨーロッパといえば列車の旅。そして車窓ですね〜(*・ω・)(*-ω-)うんうん
10chの長寿番組「世界の車窓から」で気分でも浸ります。笑
続きがあるのです。字数制限がありましたので^^;
甘えもあったのかな。飽きたのかもしれませんね。残酷なことですが
こちらの方が近いかも・・・。
ダリの才能と10歳年下というので、持った方なのかもしれません。
ガラは多くのシュールリアリズム画家を惹きつける魅力を持っていたようです。
いわゆる女傑タイプの女性ですね。
ダリにとってガラがすべて、愛人であり秘書であり母であり、人生そのものだったようです。
別居生活は辛いものだったようです。自分からガラが離れていくのはね。
どんなガラでも、ガラが生きてさえいてくれればよかったみたい。
ガラが望む物を与えてやれなかったから、仕方がないと思ったようです。
夫婦や男と女は、当人同士しか分からない、
語れない部分がありますもんね。
はたから見れば不条理でも^^;
なんだかとっても興味が湧きました。
ま、もともとダリが好きなんですけどね。
あのなんともいえない抽象的な世界は、若干捻くれたヒトには、共鳴できる部分があると思います。
あ、俺のことですけどねww
それにしても、ガラさん。
ダリを売り出すのには手腕を振るったんでしょうけど、その後がいかんですねえww
それを良しとするダリに甘えていたと、思うな。
てか、ダリの方がベタボレだったんでしょうねえ。
よっぽど。
最後の扱いが、なんか腹立ちますww