伝えたい言葉5 後編
- カテゴリ:自作小説
- 2011/06/18 00:59:23
「あの、この方は?」
黒川の見せてくれた写真には一人の女性が映っている。綾奈よりは少し年上だが、育ちの良さがその写真からもにじみ出ている。
「彼女は滝野玲さん。滝野財閥社長夫人だ。」
(この間、滔々と会長が自慢していた息子の嫁ってことね。)
綾奈の記憶では、数年前に現会長の息子が結婚とともに父親の跡を継ぎ社長へ就任しているはずだ。
(―――っていうか、黒川さん。なんで社長夫人の写真なんて持ってるのよ?よもや永遠の片思いってやつかしら?)
そんな綾奈の不埒な考えはしっかり顔に出ていたらしく、ギロッと睨まれる。
「この写真は、会長より昨日お借りしたものだ。…それよりも、考えていることが顔に出すぎている。気を付けた方がいいぞ。」
お説御尤もである。綾奈もそれは反省すべき点であることを自覚しているために敢えて反論はしない。
「それよりも、だ。明日、君を訪ねて社長夫人が来ることになった。」
「…は??」
何でですか?と、思わず問いかけたくなるような内容だ。
「澤井君。君、職場に着ていく洋服とかは持っているのか?」
「―――いえ。それをどうしようかと。」
ここは正直に答えておく。
「会長が、『戦闘服がないと困るから』と社長夫人に話したそうだ。」
そう言い切ると、綾奈が手にしている社長夫人の写真をそのまま綾奈に押し付ける。
「明日、社長夫人が来られたら返しておいてくれないか?」
心底困った様子の黒川に、ちょっと同情を覚えてしまった綾奈であった。
その、社長夫人がインタ―フォンモニター越しに綾奈に微笑んでいた。
「あ、すみませんっ。すぐ下に降ります。」
社長夫人という人がどんな人なのかはかなり不安ではあるが、黒川の指摘通り着ていく洋服には本当に頭を抱えているのだ。
―――それこそ、困りすぎて弟二人に相談してしまうほどに。
綾奈としては、『背に腹は代えられぬ』な気分だ。たとえ社長夫人がどういう人であれ、綾奈の為に時間を割いてくれるというのだ。ありがたい限りである。
昨日までの引越しの手伝いでまだ疲れているのか、和室の新しい布団にくるまって眠っている諒一と叶斗には置手紙を残し、階下に降りるためのエレベーターを呼ぶ。
(ホントに素敵なマンションだよね。)
マンションのエントランスを見ながらしみじみ思ってしまう。この吹き抜けのエントランスを見ただけでも、今までの綾奈の生活とはかけ離れている気がしてならない。
「これで『社宅』なんだもんね。」
不動産にも手を伸ばしている滝野財閥とはいえ、一社員にこんな素敵なマンションを用意できるところに財力を感じてしまう。
チン。
軽い音とともに目の前のエレベーターの扉が開いた。
「っえ…。」
乗り込もうとする綾奈の耳に、ちょっとびっくりしたような男性の声が聞こえた。
(あれ?)
その声は、聴きなれた声で、でも本当に久しぶりで。
「澤井さん?」
「龍野さん!!」
声に出してお互いの名前を呼んだのはほぼ同時だった。雅也の方は心底びっくりしたような声で、綾奈はちょっとおかしかった。
(なんでびっくりされるのかな?―――って、それはそっか。ここ、滝野コーポレーションの社宅だもんね。)
少し考えたら分かることだ。雅也は滝野コーポレーションの社員だ。初めて会った時も今も。それに引き替え綾奈の方は、雅也と初めて会ったときは『掃除のお姉さん』だったのだ。このマンションにいることを雅也が驚くのも無理はない。
「お久しぶりです、龍野さん。」
「うん。それより何でここに?」
「あ、え~っと…。実はこの度滝野コーポレーションの社員になることになったんです。それで、この社宅に引っ越してきたんですよ。」
ごく簡単に綾奈は説明する。驚く雅也に綾奈の方はそれ以上説明する時間の余裕はない。なんと言っても1階に人を待たせているのだ。
「すみません。ちょっと急ぐので…。龍野さんもこの社宅なんですよね?」
「あぁ。805号室。―――それより急いでるんだよね。んじゃ、今度時間が取れた時に。同じ会社の同僚になったみたいだし。」
綾奈は軽く頷くと、エレベーターの1階のボタンを押す。扉が閉まるまで雅也がその場にいてくれたことに何故か心が浮き立った。

























ありがとうございますw
「伝えたい言葉」よりこちらを先にUPしてしまいそうです。
近々UPしていこうと思ってますので、
楽しんでいただけると嬉しいですw
するとしたら、土曜か日曜の週1UPが今のところ濃厚ですღ
すみません;;
でも嬉しいです♪
「伝えたい言葉」も大好きなので、とっても楽しみにさせていただきます★
あ、ありがとうございますw
そのうちこちらでもUPさせていただきますね。
サイトで完結している作品なので完結するかどうか
心配しなくていいのでb
楽しみにしててくださると嬉しいですღ
それはぜひ読んでみたいで(((
いえ、なんでもありません(
図々しくてすみません><
もし機会があったら、読ませていただきたいですbb
あ、ホントですね。ありがとうございますw
めっちゃ感謝ですw
社長夫人のキャラ設定をどうするか、
気を取られてました。
(違う話の主人公なもので…っ)
綾奈は天然でおっちょこちょいで、鈍感な
ごく普通の女の子って感じですw
それを本気で思ってしまう彼女がおもしろいですww
黒川さん、困っているシーンがなんだか可愛いと思ってしまいました←
戦闘服だなんて、社長さんユーモアありますねb
「社長夫人が笑顔でインターフォンモニターごしに笑顔で綾奈に微笑んでいた」の文は、
「笑顔で」が二回きているのでおかしくないですか?
ケチをつけてしまうようですみません><
次回も楽しみにさせていただいています!
雅也、ようやくの登場ですw
って、すぐ引っ込んじゃいましたけど。
でも、何気に部屋番号を伝えて、しかも誘ってみましたw
社長夫人がスタイリスト―――勿論、ウラありまくりですw
会長はどこまでも企む人、なので^^
参加申請おまちしていますw
またご縁があることを祈ってます♪
面白いって言っていただけて嬉しいです。
これからもこんな自作小説をUPしていきたいと思ってます。
その時はどうぞ付きやってくださいませ
後程お伺いしますね~w
雅也さん、来たー!!(>∇<)
そうですか、雅也さんもこの社宅に!
「今度時間が取れた時に」
ぎゃはっ!
さり気なく誘っちゃってるじゃないですかっ!!(>∇<)
私もなんだかウキウキしてしまいます♪
スタイリストが社長夫人とは!
緊張してしまいますね><
うぅ・・・やはりここにもなにか裏があるんでしょうか?
でゎ、ときどき、親にきいてみて、もしOKもらったらまた参加申し込みしますねbb
なかなか面白いブログでした!
これからもブログ送信まってますw
おぉっ。
見直したのに気付かなかったです。
ありがとうございますw
綾奈は弟二人の前ではしっかりしたお姉ちゃんですけど
雅也の前では乙女ですw
ってか、ようやく雅也と再会しました。
いつもかきこ&ご指摘ありがとうございます♪
会長より昨日お借りしてものだ。
「て」ではなく「た」ですよね^^;
やっぱり乙女だねぇ~(やっぱりって;´Д`) 乙女だよ、彼女は←一人ツッコミ☆)