第三話:本当の敵、STP団現る
- カテゴリ:自作小説
- 2011/06/18 13:32:38
武器を持っていないぴよちゃんの笑顔。けれどてっこちゃんはライフルをぴよちゃんから逸らさない。
「鉄の掟を忘れたわけじゃないわよね」
もう一度念を押すようなぴよちゃんの優しい言葉にてっこちゃんはうなずいた。
「わかってる。でも……」
滑るように近づいたぴよちゃんがてっこちゃんの唇に人差し指をかざす。
「それは内緒」
「うん。わかってる」
てっこちゃんはライフルをぎゅっと握りしめた。
うきちゃんとヤス君はひよこの性別で論議していた。うきちゃんが探しているのはメスでヤス君のところから脱走したのはオスのひよこなのだ。
「うきちゃん、ひよこの性別判定出来ますか?」
「ここ、ここを見ると判るんだよ」
バタバタと小さな翼で暴れるひよこがうきちゃんの手のひらでひっくり返される。
「わかりますか?」
「わからない」
さてこまった。ここは伝説の初生雛鑑別師アリスちゃんの手を借りる時がやてきたのか。
「仕方がありません。アリスちゃんのマネージャーに連絡を取りましょう」
ヤス君は器用にひよこ達を抱えたまま片手で携帯電話を取り出しコールする。
「もしもし、あ、ネコさんですか? 実はアリスさんに……え? アリスさんがいない?」
「もう、かわいいなぁ、きみは!」
緊迫するヤス君のあしもとで、うきちゃんはひよこにメロメロになっていた。
「すごい!」
「ほんとー」
ゆづちゃんとワカメちゃんはカッパヘアと王冠でおなじみ、カフ王の居城、カフキャッスルの壮大さにびっくりしていた。常春の国、カフランドにはいつでも桜の花が咲いている。
「別名タケノコランドともいうんですよ」
カフ王はタケノコの流通で大もうけし、一代で財を築いたたたき上げ王でもある。
「タケノコ茶でもいかがですか? いま支度をしてきます」
ニコニコしながらもてなしてくれるカフ王がキッチンへと向かう。するとワカメちゃんがそっとゆづちゃんに耳打ちした。
「ここ、誰か掴まっている人がいるよ」
「え? だれ?」
「うーん、アリスちゃんかも」
一体お話のオチはどこにあるのか。そして全然明らかになっていないSTP団とは! 次回、怒濤の「STP団の最期」にるっくる~っく!