内部被爆の脅威
- カテゴリ:ニュース
- 2011/06/24 11:25:10
ある人が被曝をした。外部被曝は××シーベルトで、内部被曝は××だった。
足し合わせてこの人は××シーベルトの被曝をした・という計算がよく行われいますが、ここには外部被曝と内部被曝の差異の無視がある
足し合わせてこの人は××シーベルトの被曝をした・という計算がよく行われいますが、ここには外部被曝と内部被曝の差異の無視がある
この点で、最近、ますます肥田先生が積み上げてきた蓄積の妥当性、あるいは凄さを感じます。肥田先生は著書『内部被曝の脅威』の中で、次のように問題を整理されています
「人体の細胞修復機能」というタイトルがついた一文
ここで二つの問題提起ができる
一つ目は、体外被爆であればそれはガンマ線であり、強い貫通力で身体を突き抜ける一回だけの被ばくと考えられる
それであれば傷ついたDNAが修復する可能性は十分にある
しかし体内に取り込まれた放射性物質から放射線が放射される場合はどうなのだろう
二つ目は、人間の細胞が場所によって分裂の速度が違うことである。生殖腺や造血組織(骨髄)、それに胎児は細胞分裂の速度が速い。これら、細胞が若返りを必要とする器官では非常に早いサイクルで細胞分裂を繰り返す
すると、被ばくした細胞の微小な傷の修復が追いつかないまま、細胞が複製され、細胞分裂のたびに自然拡大する可能性がある。これが突然変異の原因となる
これもまた体外被爆と内部被曝では違うのではないか
「ペトカウ(医師)は牛の脳から抽出した燐脂肪でつくった細胞膜モデルに放射線を
照射して、どのくらいの線量で膜を破壊できるかの実験をしていた。エックス線の
大装置から15.6シーベルト/分【許容線量は1ミリシーベルト/年】の放射線を58時間、全量35シーベルトを照射してようやく細胞膜を破壊することができた
ところが実験を繰り返すうち、誤って試験材料を少量の放射性ナトリウム22が
混じった水の中に落としてしまった。燐脂肪の膜は0.007シーベルトを12分間被ばく
して破壊されてしまった。彼は何度も同じ実験を繰り返してその都度、同じ結果を
得た。そして、放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に必要な放射
線量が少なくて済むことを確かめた。こうして、長時間、低線量放射線を照射する
方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破壊することが、
確かな根拠を持って証明されたのである。これが「ペトカウ効果」と呼ばれる
学説である
混じった水の中に落としてしまった。燐脂肪の膜は0.007シーベルトを12分間被ばく
して破壊されてしまった。彼は何度も同じ実験を繰り返してその都度、同じ結果を
得た。そして、放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に必要な放射
線量が少なくて済むことを確かめた。こうして、長時間、低線量放射線を照射する
方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破壊することが、
確かな根拠を持って証明されたのである。これが「ペトカウ効果」と呼ばれる
学説である
これは放射線に対する従来の見解、今も、アメリカ政府や日本政府によって、強固
に支持されている見解を覆す内容を持っています。なぜなら、従来の見解は、放射
線は絶対量を浴びれば浴びるほど危険であり、反対に言えば、低線量であれば
被曝は危険ではないというものだからです。このもとで、100ミリシーベルトまでは
安全だとか、子どもの許容量を、年間20ミリシーベルトまでにするなどという暴論
が飛び出してきています
しかしペトカウが発見したのは、一瞬のうちに高線量の放射線が通過する被曝
よりも、むしろ低線量を長時間(といっても12分間)浴びる被曝の方が細胞に大きな
ダメージをもたらすということでした。その意味で、体内から長い間被曝をうける
内部被曝の方がより深刻なダメージがもたらされることが証明されたのです
よりも、むしろ低線量を長時間(といっても12分間)浴びる被曝の方が細胞に大きな
ダメージをもたらすということでした。その意味で、体内から長い間被曝をうける
内部被曝の方がより深刻なダメージがもたらされることが証明されたのです
さらに肥田先生は、ペトカウ理論をさらに深めていったスターングラス教授の見解を
紹介しています
紹介しています
「ピッツバーグ大学医学部放射線科のスターングラス教授は、ペトカウ説を基礎と
して研究をさらに深め、次のような結論に辿りついたという
1 放射線の線量が非常に低い低線量域では生物への影響はかえって大きくなる
2 低線量放射線の健康への危険度はICRPが主張する値より大きく、乳児死亡の
倍になる線量は四・五ミリシーベルトである
3 アメリカや中国の核爆発実験の放射性降下物によって乳幼児の死亡率が増加
した
4 放射性下降物に胎児期被ばくした子供に知能低下が生じた
5 スリーマイル島原発事故によって放出された放射能によって胎児死亡率が増加
した
2 低線量放射線の健康への危険度はICRPが主張する値より大きく、乳児死亡の
倍になる線量は四・五ミリシーベルトである
3 アメリカや中国の核爆発実験の放射性降下物によって乳幼児の死亡率が増加
した
4 放射性下降物に胎児期被ばくした子供に知能低下が生じた
5 スリーマイル島原発事故によって放出された放射能によって胎児死亡率が増加
した
このスターングラス教授の見解に対して、アメリカ政府とその周りの科学者はこれまで大量の批判を行ってきているそうです。しかし肥田先生が強調するのは6000人の被ばく者を臨床治療し、多数の「原爆ぶらぶら病」と向き合ってきた経験から、ペトカウ理論に基づいたスターングラス教授の見解は、もっとも臨床的知見に合致するということです
それ以外の放射線に関する公式見解では、そもそも「原爆ぶらぶら病」など、ないことになってしまう。低線量被曝と内部被曝の危険性を捉えない限り、この症状は説明がつかないのです
これらから次のようにまとめることができます
1 外部被曝と内部被曝を同じシーベルトに換算して足し合わせる計算式は
間違っている。外部被曝と内部被曝の差異を無視している
2 現在の福島原発事故の現状では、人々の内部被曝による低線量被曝の
危険性こそが問題であり、これから身を守るための措置こそ、進める必要がある
<3・11から日本を問う>内部被ばくに向き合え
医師・被爆者 肥田 舜太郎さん
医師・被爆者 肥田 舜太郎さん