伝えたい言葉6 前編
- カテゴリ:自作小説
- 2011/06/25 01:14:01
「お待たせしてすみませんでした。」
玄関ホールに急ぐと、カジュアルな中に品の良さを伺わせる装いの女性が笑顔で笑みを返してくれる。
「いえ、いいんです。―――それよりも、お義父さまからのいきなりなお話でびっくりされたでしょ?」
綾奈は社長夫人とは、「専用の車に運転手付き」というイメージを持っていたのだが、彼女はそうではないらしい。あたりを見回したがそれらしい車も人も存在しなかった。
「えっと、自己紹介をしとかなきゃ、ですね。私滝野玲っていいます。」
「あ、こちらこそすみません。澤井綾奈です。今日は朝から私の為に時間を取ってくださってありがとうございます。」
そう恐縮する綾奈に、玲は心底嬉しそうに微笑んだ。
「お礼を言うのはこちらの方よ。今日一日、子供たちとは違う時間を過ごさせてもらえるんですもの。」
「お子さんがいらっしゃるんですか?」
「えぇ。7歳と5歳なの。」
すごく手がかかるのだと玲は苦笑する。
「でも、かわいい盛りですよね。」
「そうね。―――でも、たまには子供たとは違う時間を持ってみたいとも思っちゃうわ。」
贅沢な悩みだけど、と片目を閉じて見せた。
綾奈の周りにはまだ子供どころか結婚している友達はいない。だが、子供のいる生活には憧れに似た感情を持っている。
特に、両親を亡くしてからは一層その気持ちが強くなった気がする。
「さぁ。それよりも買い物に行きましょう。」
玲は右手のこぶしを上へあげて見せた。その手にはブラックカードが握られている。
「今回の買い物はお義父さまっていうスポンサーがいるんですもの。思いっきり買い物しなきゃだわ。」
「え…。あ、じ、自分で払います!!」
だからブラックカードを片手に腕を振り上げないでほしいというのが、綾奈の本音だった。道行く人がじろじろと綾奈たちを見ている視線が痛い。
「―――綾奈さん。黒川さんからも話を聞いてるかもしれないですけど、これはお義父さまが言いだしたことなのよ。しかも、『仕事に必要なもの』を買いに行くのよ。簡単に言えば、『制服』ってことかしら。今まで、仕事をしてきたところから『制服』を買ったことなんてなかったですよね?」
言外に「なかった筈」と言いたいのだろうことは丸わかりだ。勿論、玲の指摘通り制服を「買った」ことなど一度もない。
「でも、それは、「制服」であって…。」
「じゃぁ、反対に聞きますけど、今回の仕事に就かなくても今から買いに行く洋服は買う予定とかはありました?」
そう言われると反論は出来ない。事実、今までの綾奈の生活では、絶対に必要のないものでしかないのだから。
「でしょ?無理やり頼みこんだお義父さまが「スポンサーになる」って仰ってるんですもの。いいんじゃないかしら?それでどうしても気が咎めるというのなら…。」
「言うのなら?」
ちょっと身構えてしまう綾奈に対し、玲はにっこりと笑って見せた。
「私におススメな喫茶店とかを教えて下さると嬉しいわ。」
「き、喫茶店、ですか?」
「えぇ。私あんまり喫茶店とかって行ったことがないの。特に綾奈さん世代のよく行くお店とかには。やっぱり周りに若い人がいないとそんな情報とかって入ってこないんですもの。」
まるでそれで平等だと言わんばかりである。
「でも…。」
「私の提案に乗って?それが多分正解だわ。」
イマイチ納得ができないのだが、それでも玲の提案はありがたいことには変わりはない。明日からの仕事着も必要不可欠だ。変に遠慮して滝野コーポレーションの会長秘書として恥ずかしい恰好は出来ない。ここは、玲の気遣った提案に乗るべきだろう。

























玲を気に入ってくださってありがとうございますw
超お嬢様な子なので、おおらかな子なのでした。
彼女もいろいろありましたが、ちゃんと幸せをつかんだので
気に入っていただけて本当に良かったですw
なんだかお姉さんみたいな方で、今まで親代わりに弟二人の面倒ばかり見てきた綾奈には、
嬉しい味方(敵がいるわけではないのですが;)ができたのでしょうね^^
大らかな性格なのに有無を言わせない鋭いところもあって、
如何にも“社長夫人”って感じです;;
いつもコメントありがとうございますw
社長夫人の行く店=高い
んですよね、多分。
会長が手配しているところからして怪しいですよね><
まぁ、秘書をしている友達が周りにいないですけど、
一般人とは違う服を着ていると私は勝手に思ってますw
完全にペースに巻き込まれてます(^^;
社長夫人の行くお店なので
きっと綾奈さんの想像を絶する金額なのでしょう。
払ってもらって正解です!
とは言うものの
これも後々なにかに関わって来るのかも!
と思うと
石橋を叩かずにはいられませんね><
本当にありがとうございますw
すみませんっ。
いつもありがとうございます。
綾奈は玲に振り回されっぱなしです。
ちょっと玲はお嬢様なので…。
綾奈さん怖いですね;´Д`)