Nicotto Town



読書感想文【荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論】

集英社のワナと知りつつ、ひっかかってしまいました。
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「ワンピース」をネタにした「ONE PIECE STRONG WORDS(上下巻)」は、かなり売れているらしい。
「こち亀」の秋本治の「両さんと歩く下町」も同じ集英社新書から出ている。そして、荒木飛呂彦の書いた本書も出版された。

「ジャンプの人気漫画家に本を書かせよう」シリーズが始まったのだろうか。

尾田栄一郎・秋本治・荒木飛呂彦に本を書かせれば、ネームバリューだけでもヒット間違いなし、と思ったかどうかさだかではない。
「流行りモノは、とりあえずスルー」がポリシーだったが、「荒木飛呂彦」の名前にひっかかってしまった。

3人を「陰」と「陽」に区別するとしたら、荒木飛呂彦は「陰」で他の二人は「陽」に分類できるだろう。
暗くて狭い所が大好きなので、荒木飛呂彦の本に惹かれ、本書を手に取った、と言えば聞こえはいい(?)かもしれないが、集英社の思う壺にハマッただけとも言える。


荒木飛呂彦はホラー映画が好き、というのは知らなかったが、さもありなん、という感じがする。
「ジョジョの奇妙な冒険」は3部までは読んでいたが、1・2部は「吸血鬼」「ゾンビ」などがモロに出てくるし、3部はいろいろな映画を下敷きにした話が多かったからだ。

ちなみに荒木飛呂彦と聞けば、多くの人は「ジョジョの奇妙な冒険」を思い浮かべるだろうが、個人的には「バオー来訪者」が一番好きだった。
そういえば、こちらも「恐怖」を扱っていた。

ホラーと言えば、ゾンビや幽霊、殺人鬼がお約束で、それらが登場する映画も数多く紹介されているが、それだけではない。

著者の考えるホラー映画は
「見る人が恐怖するしかないような状況を描く映画、それを目的として救いのない状況を突きつけてくる映画」
というものらしい。
そのため、一般的には「ホラー映画」には分類されないような映画も含まれている。

さらに著者はホラー映画は「癒し」の要素も含まれていなければならない、と言う。
「恐怖」を直接的には害のない形で表現することによって、「予行演習」を行うもの。

「恐怖を通して現実世界の不安からひと時の解放をもたらしてくれるもの」がホラー映画だと言っている。

ここまで愛情たっぷりに論を展開されると、少しだけでもホラー映画を見てみようか、という気になってくる。
なにより暑い日にはよくあいそうだし・・・




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