タイ国境、兵力増強と世界遺産条約脱退で緊張
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- 2011/06/30 17:38:09
プラユット陸軍司令官は27日、カンボジア国境付近に展開する部隊に警戒強化を命令したと発表した。兵力も増強する計画だ。カンボジア軍が兵力を増強し ているとの情報を受けた措置。カンボジアが提出した計画の討議に反対して、タイが世界遺産条約脱退を表明したことで、両国関係悪化が予想されている。
28日付バンコクポストなどによると、陸軍第2管区のプラウィット報道官は27日、カンボジア軍が国境の兵力を増強していると明らかにした。東北部スリン県パノムドンラック郡の寺院遺跡タクワイ近くのカンボジア領内では、演習も行われているもようだ。
サンスン陸軍報道官は同日、両国軍の代表が紛争防止に向けて協議したことを明らかにした。タイ軍は緊張緩和のため、タイ・カンボジア国境付近の寺院遺跡 プレアビヒア(タイ名:カオプラウィハーン)周辺の国境未画定地域から両国軍の兵力撤退を提案したが、カンボジア軍は拒否した。
プレアビヒアは、タイ東北部シーサケート県とカンボジア北部プレアビヒア州の国境付近にあり、国際司法裁判所が1962年、遺跡本体はカンボジア領と認 定したが、周辺国境は未画定で、両国対立の要因となっている。タイ政府は反対したが、ユネスコは2008年7月、世界遺産に登録した。
パリで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会(WHC)の会議に、タイ代表として参加したスウィット天然資源・環境相は25日、世 界遺産条約からの脱退を発表した。カンボジア政府が提出したプレアビヒア管理計画について、WHCが討議開始を決めたことが理由だ。
管理計画はカンボジア政府が単独で作成したもので、領土喪失につながる可能性があるとして、タイ政府は討議開始に反対していた。
プラユット司令官は27日、韓国に向かうため立ち寄った新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)で、フランスから帰国したスウィット天然資源・環境相と面談し、脱退の決断を称賛すると伝えた。
バンコクポスト(電子版)によると、スウィット天然資源・環境相は28日、アピシット首相がタイの考えを伝えるため何度も電話したが、ユネスコのイリーナ・ボコバ事務局長が無視したと非難した。
ボコバ事務局長は27日、声明を出し、タイが脱退を発表したことに遺憾の意を示すとともに、再考を求めた。
一方、政府に対カンボジア強硬策を要求している反タクシン元首相派の民主市民連合(PAD)のパンテープ広報官は同日、来月1日に計画していた反政府デモ集会を延期すると発表した。条約脱退の要求が認められたことが理由だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110629-00000006-nna-int