治安部隊がシリア中部ハマを包囲、市民16人死亡
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- 2011/07/06 21:11:44
シリア国内各地で民主化蜂起に直面するアサド政権は、中部の主要都市ハマに対する攻勢を強化、シリア人人権団体などによると4、5の両日で少なくと も16人の住民らが治安部隊の発砲などで死亡した。ハマは82年にイスラム主義組織主導の反乱があり、弾圧により推定1万~3万人が死亡したとされる場所 だけに、「虐殺」が繰り返される可能性も懸念されている。
反体制派団体「地域調整委員会」によると、当局側は4日未明にハマへの入り口を戦車で封鎖。若手活動家の拘束を始めたほか、デモ参加者に発砲するなどした。住民側は道路にバリケードを設置し国軍の移動を防ごうとしている。
ハマではアサド大統領(00年就任)の父、故ハフェズ・アサド前大統領が統治していた82年に反乱が発生。当局は空爆まで行って徹底鎮圧し、事件は「ハマの虐殺」として知られる。
こうした中、アサド政権に対する国際的批判が強まっている。米国務省は5日、「平和的デモ隊への攻撃を継続している」と批判、ハマなどから治安部 隊を撤収するよう要求した。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は6日に公表した報告書で、治安当局が5月に大量拘束や拷問、拘束者の殺害 など「人道に対する罪」を犯した疑いがあると指摘。国連安全保障理事会に対し、シリア問題を国際刑事裁判所に付託するよう求めた。
アサド政権は、今年3月中旬に始まった一連の蜂起を「外国の陰謀」「武装勢力の扇動」と主張して弾圧を継続。一方で、民主化改革と国民との対話を約束しているが、反体制派からは「国際的圧力をかわすことだけが目的」との批判が出ている。
http://mainichi.jp/select/world/news/20110707k0000m030030000c.html