黙っていれば誰にもわからない。

何もいわなければ誰にも気づかれない。

誰にも見つけてもらえない。

誰の記憶にも残らない。



僕はそれをずっと望んでいたはずなんだ。

誰の中にも留まらず、

誰の心にも漂わず、

一人で消えて行こうと、思ってたんだ。

独りで消えて逝こうと、考えてたんだ。



だけど、君と出逢って、

君の笑顔に触れて、

君を守りたいと願ってしまった。

ずっと一緒にいたいと思ってしまった。

いつ消えてもいいと嘯いていたこの僕が、

もう少し、もう少し、と欲張ってしまった。



僕はもう少し自分の立場を考えるべきだったんだね。

僕が、僕なんかが、

主人公になれるはず、なかったのに。

勘違いしてしまった。

絶対的な主人公の君の隣にいたから、

もしかしたら、とおもってしまったんだ。



ごめんな。

最後の約束、聞いてあげられなくなっちゃたな。

もう、これから僕と会えなくなるけれど

ちゃんと、代わりを見つけて、元気でやるんだよ。

大丈夫。

僕の代わりなんていくらでもいる。

だって君は主人公で、

僕は主人公じゃないんだから。

代わりなんて、ありあまってるはずだよ。

・・・泣くなよ、このくらいで。

君はこれからもっと苦しいことに立ち向かわなきゃいけないのに、

こんなことで泣いていちゃ、すぐにつぶれちゃうよ?

ほら、元気出して。

笑顔が一番、だぜ?

はぁ・・・、ごめんな、時間だ。

もうそろそろ行かなきゃいけない。

・・・これ以上欲張りにならないうちに、終わらなきゃ。


じゃ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　元気で、な。