盗賊、サラ。
- カテゴリ:人生
- 2011/07/10 23:55:39
盗賊とお釈迦様のお話です。(グロテスクな表現あり)
生まれついての盗賊だった。
人を殺し、皮を剥ぎ、日に干して・・・干し肉にして食べて暮らしていた。
殺すなら食べる。食べぬなら殺さぬ。
盗賊(命を奪って、命を得るモノ)。
そう、獣のようにワタシは生きていた。
今の世なら「暗殺者」「殺し屋」そういう名前がふさわしいかもしれない。
ただそれは「外道」だ。食べるために殺していない・・・。
欲のために殺すは「外道」・・・。
なのに
ワタシは道を外した・・・。
トカゲ女郎(ワタシの親分。ナイフの使い方を教えてくれた人)との約束をワタシは破ってしまうことがあった。
それはベルフェゴールという旅の商人に、裏切られ、トカゲ女郎を殺された時だった。
ワタシはベルフェゴールの部下を、まず殺した。
思った以上に大きな集団だった。
十人殺したところで、「あくまだ」と、叫ばれた。
言葉の意味もわからぬワタシは、それがバカにされている言葉だと言うことだけはわかった。
ワタシはナイフを急所に突き立てていく。
獲物をしとめる・・・。簡単なことだ。
だが・・・今回の獲物は食べない・・・。
わきあがる黒い感情に従い、ただ感情的にワタシは動き続けた。
そして、とうとうベルフェゴールの肝臓部分を突き刺し、ベルフェゴールを絶命させた。
それなのに黒い感情は消えはしないのだ。
王都の警備兵がワタシを囲む・・・ワタシは約束を破った・・・捕らえられるべきだろう。
そこで不思議な声を聞いた。
「憎しみは消えたかい?」
「???憎しみ???この黒い感情のことか」
「うん。そうだね。お前さん、泣いているのかい?」
「泣く?わからない・・・泣くとはなんだ・・・」
「目からあふれているものさ」
「ああ、これか。・・・トカゲ女郎が殺されてからずっと止まらないのだ・・・。黒い感情も消えない!ワタシはあと何人殺せばいい!」
「ゆるします」
「ゆ・・る・・し・・ま・・す」
「そそ。もう一度」
「ゆるします・・・聞いたことのない言葉だ」
「だったら覚えておくといいよ」
「わかった。そうする・・・おじさんからはトカゲ女郎と同じ匂いがする・・・やさしい匂いが・・・」
「そうかい・・・名前はあるのかい」
「サラ。トカゲ女郎はそう呼んでいたな」
「うん。そうか・・・じゃあ、サラ。おじさんはブッタなんて呼ばれてる。まあ、呼び方はブッタでも、ブーちゃんでも何でもいい。好きに呼んでくれていい。どうだい?おじさんと、一緒に来るかい?」
「行く」
「よし。それじゃあ、そういうことだから」と、ブーちゃんが言うと、王都の警備兵たちは深く頭だけ下げて立ち去った。
「ブーちゃんは、偉い人なのか?」
「あはは。そうそう、その調子。サラ、ボクが人間の肉よりも美味しい物をごちそうしてあげるよ」
「・・・人間の肉よりも美味いものが、この世にあるのか?」
「もちろんさ・・・トカゲ女郎とはどんな約束をしていたのかな」
「殺すなら食べる。食べぬなら殺さぬ。だ。」
「そっか。えらいじゃないか。うんうん」
「だが・・・今回は約束を破ってしまった・・・」
「約束は大切。責めるのはそこでおやめ」
「・・・ぶーちゃんがそういうならやめる」
「うん。一つ上に上がるんだよ。憎しみはあるのかもしれないし、ないのかもしれない。さ、言ってみて」
「一つ上に上がる。憎しみはあるのかもしれないし、ないのかもしれない」
「どうだい?」
「なんと言うのかわからない・・・今まで感じたことのない気持ちよさだ・・・これはなんなのだ・・・」
「それが「しあわせ」って奴だよ。わかるかい?」
「し・あ・わ・せ・・・あれ?何だ・・・また目からあふれだしたぞ・・・どうしてだ」
「うれしい時もあふれるものなんだよ。」と、ブーちゃんはワタシの手を握って、ワタシのとなりを歩いてくれた。
ワタシはぶーちゃんを見上げて、目元の筋肉が緩むのがわかった。すると、ブーちゃんも目元の筋肉を緩ませてくれた。それが何なのかよくわからなかったが・・・ワタシは余計に嬉しくなったのだった。
ちゃんちゃん。お読みいただきありがとうございました。
が、分からない…いやちょっと分かる?う~~ん やっぱり分からないかなぁ。
ブッダが「そそ」って面白かったですw
盗賊も’やさしい’’嬉しい’は知ってたんですね~
わかりやすいねっ^^
ブーちゃんと呼んでみたいなっ^^
なんていい言葉なんでしょうね……(´;ω;`)
こういう平和に向かう物語っていうものが書きたいです。
ブッダがぶーちゃんとは、かわいいwww