Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


盗賊サラと、アヒンサカ


盗賊サラ続編。

「おや、それはたしかサラが熱心に書いていたモノだね」
と、ブッタは弟子の一人に聞く。

「ええ、そうです。『アングリマーラ』のことが、とても詳しく書かれてあります。今、彼がどこにいるのか、さえも」

「それは大変だ。急いでサラを追いかけなきゃ」

と、ブッタはサラの書いたモノを片手に走り出していった。






あと一人。あと一人殺せば、悟ることができる。

この世では味わえぬ幸福を手にすることができる・・・。

次に通りかかった奴だ。

誰で、あろうと・・・おっ。

少年か?・・・いや、少女だな。

14、5ぐらいか。顔だけ見ればもっと幼くも見えるが・・・。

ええい、かまうものか。

アングリマーラは、そう決心して飛び出した。

走って追いついたところで、剣を上段に振り上げて、振り下ろした。

血しぶきが上がるはずだった。

「アングリマーラか?ワタシはサラ。お前を喰らう」

声は後ろ斜めから聞こえた。

「ひっ」

逃げた。・・・何だ、突然、頭をえぐられるようなモノが・・・。

今度は前から・・・。右からも・・・左からも・・・。

何だこれは・・・。一歩でも動けば、殺される。

「今、お前が感じているのが『殺意』だ。お前に殺された者たちはみな、それを感じてきた・・・さあ、怯え苦しみ、いい声を聞かせておくれ。ワタシのいとしい、いとしいエサよ」

「ひっ。お助け・・・」

ああ、そう言った奴を何人か、殺したよな。

これが因果という奴か・・・。

それでも嫌だ・・・死ぬのは嫌だぁあああ

「どんなに叫んでも・・・助けてはやらん」

アングリマーラは後ろからとても懐かしい、「あたたかい気」を感じた。

前方にいた「サラ」の動きも止まる。

「ブーちゃん!どうしてここに!」と、サラは叫ぶ。

「うん。サラのことが気になってねw。たった一人で99人も殺した殺人鬼に会いに行くと、聞いたから。ついね」

「それがワタシの獲物だから・・・」

「うん。トカゲ女郎との約束だものね・・・。うんうん。だから、ボクと勝負をしよう、サラ。それならかまわないだろ?」

「いくらブーちゃんでも、勝負となったら手加減できないよ」

「いいよ、それぐらいでないと、張り合いも無いし。サラ。ここはボクを信じて・・・ね。」

「・・・・・・やっぱり、ブーちゃんは・・・・・・ううん。何でもない。わかった、信じるよ」

アングリマーラはただ戸惑っていた。

前方からの変わらぬ殺意。

後方からの何とも言えぬ懐かしい気。

一体この二人の勝負はどうなるのだろう。

ただわかっていることは・・・ブーちゃんと呼ばれる人が負けると、自分が死を迎えるということだけはわかった。

アングリマーラは殺人鬼であることも忘れ、ブーちゃんの勝利を祈った。

「行くよ、ブーちゃん」と、サラの掛け声で、戦いが始まる。

と、言っても・・・「気」の飛ばしあい。

達人レベルの戦いである由縁かもしれないが。

まだ二人に動きは無い。

サラは殺意を次から次へと作り出し、ブッタに飛ばす。

だが、どの殺意もブッタには届かない。

それどころか、やさしい気に当てられ、殺意を作れなくなりつつある自分に気づいた。

このワタシが負ける・・・。

ブーちゃんの「気」はこれだけ多いのに、どうして途切れることも無く、ワタシを包みこむのだろう。

とてもやさしい。懐かしい・・・何だろう・・・この感覚は・・・。

サラは膝を地面につき、ブッタを見上げた。

「完敗だよ・・・ブーちゃん。あれ・・・ワタシ、泣いてる・・・負けてくやしいのかな。ううん、それともうれしい・・・何だろうこれ、よくわからない」

「サラや。そのままでいいのですよ」と、ブッタはサラをそっと抱きしめた。

まるで母親が子を抱きしめるように、そっとやさしく抱きしめた。

一部始終を傍観していたアングリマーラは土下座をし、「私を弟子にしてください」と、叫んでいた。

すると、突如頭をなでられ、

「わかるかい?人を尊敬するって偉大なことなの。今の気持ち、大切にしな。んで、明日から市中を歩きな・・・そこで今日みたいに一人、人を尊敬して帰る。できるかい?」

「!!はい!!」と、アングリマーラはまた、叫ぶ。

「サラ。アングリマーラを手伝ってやってくれるかい?」

「・・・」と、サラはまだ泣いていたが、首だけでうなずいて見せた。

サラの心に、種が植えられた。

アングリマーラの心にもまた、何かの種が植えられた。



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2011/07/19 07:58
 芽生えたんじゃね…^^
 少しづつじゃけど、希望の光が…^^
 ブーちゃんに会ってみたいなぁ♫



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