オトシブミ ④
- カテゴリ:自作小説
- 2011/08/04 09:54:27
「母さん、母さん!」
僕がその光を追いかけようとした瞬間、ほっぺたに衝撃が走った。
「何を言ってやがる。起きろ、コラ!」
父さんが立っていた。
僕は夢を観ていたようだった。
時計を見たら、まだ朝の4時だった。
昨夜夜更かしをしたので、まだ眠かった。
「望、これから魚釣りに行く。狙いはイワナだ。」
父さんは買ったばかりの渓流竿を、僕にくれた。
僕は魚釣りなんかやった事無いし、興味も無いのに・・・。
本当はもう少し寝ていたかったけれど、父さんには逆らえなかった。
僕たちはキャンプ地を出て、川を上流へ登って行った。
父さんは僕の分の仕掛けを作ってくれて、エサも付けてくれた。
途中で釣れそうな所で釣りながら、川をどんどん登って行った。
父さんは早くも2匹のイワナを釣ったけど、僕には全然釣れなかった。
「僕、なんにも釣れないよ。」
「当たり前だろ!イワナ釣りは難しいんだ。」
「僕も釣りたいよ、父さん教えてよ!」
「そうか、よし」
渓流釣りの仕掛けは、オモリと針しか付いていない。
途中に目印というセルロイドが付いていた。
「いいか、望、目印が川の流れと違った動きをした時がアタリだ。その時に竿を少しだけ上げて合わせをくれるんだ。そうすると針に魚が掛かる。」
僕にはそのアタリというのがさっぱりわからなかった。
魚のいるポイントも父さんに教わったけれど、僕には一向に魚が釣れなかった。
「この川を登って行くとな、大きな滝があるんだ。母さんと来た時もそこでイワナを釣った。その時母さんがな、大きなイワナをその滝で掛けたんだが、惜しくも釣り落としたんだ。そのイワナはな、40センチくらいの大イワナでな、尻尾の所に大きな赤い斑点があった。まだそのイワナが誰にも釣られていなければ、もしかすると釣れるかもしれない。」
僕たちは釣りをしながら、その滝を目指して川を登って行った。
父さんはその後、2匹のイワナを釣り合計4匹になった。
僕は相変わらず何も釣れなかった。
父さんが釣ったイワナは20センチくらいで、とても美しい魚だった。
体には白や赤の小さな斑点があった。
僕には初めて見る魚だった。
川を登ってゆくと、やがて大きな滝が現れた。
父さんは僕に言った。
「望、まずはお前があの滝を釣って見ろ。滝の横の大きな岩があるだろう。あそこがポイントだ。お前の竿なら届くはずだ。やってみろ。」
僕はエサを新しいものに取替え、滝つぼの大岩の所にエサを落とした。
水の流れのままにエサを流し、やがて岩が終わる所に来た時だった。
目印が流れとは違う動きをした様に思えた。
まるで大岩の方に引き寄せられるように・・・。
僕は竿を少し上げて、合わせをくれてみた。
今までとは違った重さが、僕の竿に伝わった。
やがて僕の仕掛けは、何者かに引っ張られるように動き出した。
「何か掛かった!重い!重いよー!」
「望!竿を立てろ!そのままじゃバレるぞ!」
「ダメだよ、父さん、出来ないよ、代わってよ!」
「ダメだ、お前一人の力で勝負してみろ!もっと竿を立てるんだ!」
「無理だよ・・・ダメだよ、僕・・・」
僕は足元が気になり、下を向いたままだった。
このままでは川の中に落ちてしまう。
もうだめだ・・・。
ゲームならリセット出来るのに・・・。
僕はもうだめなんだ。
きっとこの大きな魚も、逃がしてしまうんだ。
父さんが代わってくれないからだ。
父さんのせいだ。
そう思うと、僕は涙が出てきた。
つづく
お返事遅くなりました。。。
切羽詰った時の弱さは、経験の少ない子供ならいっそう大きいでしょうね。
そういった経験値を教える事も、父の役割でしょう。。。
ゲームとは違った緊張感。
様々な経験で、少年は一歩一歩大きくなって行きますね。
続きもありがとです。。。
しちゃった。。
ゲームと違ってリアは厳しいのだ
ニコタの釣りは簡単すぎるけどね・・
続き読みます^^
ま、この一部分だけ夢オチで勘弁してください。。。
最後にこの件がまた出て来ますから・・・。
一徹さんまでやっちゃうと、やりすぎなんですけどね~。。。
お父さんに鍛えられて少年は強くなる?
望少年、頑張って欲しいですね~。
さて、釣り上げる事ができるのでしょうか・・・。
ええ、本当に一生続けられる愛は、人間としての最強の財産だと思います。
元々それを得る資格のある人は、限られちゃってますからね。
なんて言うか、もっと刹那的に生きている人も大勢いますし
その人たちが間違いだとは、私にも言う資格はありませんから。。。
たまこさん、そんなに肩肘張っていなくてもいいと思いますよ。
愛すべき人は自然に訪れますって。
たまこさんがそれを求めてさえいれば。
アンテナは張っていてくださいね。
気付かない事だってありますから。。。
P・S
カープ2位浮上おめでとう!
ウチと首位争いできたら、素敵なシーズンですね!
おお、ありがとうごぜーますだ。
魔女さまにも読んでいただけるとは・・・。
”きなこプロ”には恥ずかしくて読まれたくないんですよ。
だから、鬼のいぬまにUPします!
やった、これで2冠だっ!
本日最終話をUPします。
おったのしみにぃ~!
ええ、この夢がね、後々どう影響するのか?
楽しみにしててください。
ウチの息子も、望少年のように向上心があってくれればいいのにって思いますよ。
あーあ・・・。
ありがとうございます~!
いやいや、所詮シロートのお遊びですから。。。
つーか、まだ完結してないのに、賞とかもらえるのぉ?
最終回でがっかりするかもよ。。。
本日、完結編をUPします。
是非ともご覧くださいね~。
何か、いろいろ~愛情が溢れてて、胸が痛くなっちゃいます。
一生に一度の愛・・・そうですね、まず自分が愛さなきゃ~^^
けど、心から信頼して愛するのって怖いです><
やっぱ、愛せる人が居ることがうらやましい~~。
ってセンチメンタルになっちゃいました☆
ついに最終回~、続き、楽しみにしています!!
続き読みたい・・・
お母さんに会えたのは夢の中だったんですね。
望くん~釣れますように。。。。
明日のラスト・・楽しみにしてます^^
もう、なんでこんなに文章が、ステキなんだろう・・・感動します。
芥川賞ならぬ、おんぷ賞さしあげます(^_-)・・・(価値がない賞ですみません^^いひ)
おお!まだ、先がありますね^^
ドキドキしながら待ちます。。。
釣ってくだされ~~~!!がんばれ~~~~~!!
毎回ありがとうございます。。。
ええ、一旦夢オチです。
散々すったもんだやった挙句、全てが夢オチってのはあまり好きじゃないもんで。
ファンタジーねぇ・・・それもいいですが、今回はリアリィで。
夢だったのですか~ファンタジーに入っていくのかと…