Nicotto Town


日記ときどきお題。。。


treasure of alphabet 2

「はい来たー。なんやねんこれ!腹筋、背筋ときてなんで次は縄跳び!?おかしいやろ!!」
優里たちは第一関門を通過し、予測した体育館裏に来ていた。そこにあった箱を開けると縄跳びを1000回飛べという紙のほか、もう一枚の紙とご丁寧に縄跳びが入っていた。
「いいからつべこべ言ってねーでさっさと飛べよ」
「はいー?そないなこと言うなら自分が飛べや!なんで俺が飛ばなあかんねん!」
竜と拓馬が言い合いをしている横で優里たち三人はもう一枚の紙に目を通す。
「…絵のレベル落ちてねぇ?」
咲の言うとおり先程の二枚の絵と比べ、今回の絵は大分違っていた。
「…雲、かなぁ、このもこもこしてるの…」
「じゃあこれは…柵?」
「ってことは屋上か?」
三人が議論している間にも一向に縄跳びを飛び始める気配がない。三人が竜と拓馬の方を見ると互いの制服を掴み合い、今にも殴り合いそうな勢いで睨み合っていた。
「……お二人さーん?喧嘩ならあとで頼む」
咲の一言に振り返る二人。ここで問題なのは、竜はそれでやめようとしても頭に血が上りやすい拓馬はこんなことではやめようとしないことだ。
「うっさいわ咲!黙ってそこで見ときぃや!今から竜をメッタメタに…」
「日下君。」
拓馬の声は優里によって遮られる。呼ばれた拓馬はしまったという顔をしてゆっくりと優里の方を見た。
「…なんでっしゃろか、優里ちゃん?あああ!縄跳びやね!そうや!飛ばないかんなぁ!飛びます!今飛びます!!すぐ飛びます!!!」
優里の冷めた視線を受け、急いで飛び始める拓馬。咲と竜は呆れてため息をつき、優里は拓馬から視線を外し紙に再び視線を落とす。
8分後、拓馬が汗だくになりながら900回目に突入したとき、姿を消していた未来がパタパタと戻ってきた。
「わぁー!拓馬君あとちょっとだね。頑張って!皆に飲み物買ってきたの、拓馬君も終わったら飲んでね。どれがいい?」
未来の意識としては拓馬に向かって言ったのだが他の三人が未来の持ってきたペットボトルを物色し始める。拓馬が飛び終わり倒れこんだときには既に三人ともそれぞれ好きなものを選び、ふたを開けていた。
「ちょ…っ、ヒドないっ…?俺っメッチャ…が、頑張ったん、やけど…っ」
息も絶え絶え言う拓馬を見て三人を止められなかった未来はおろおろとしている。
「あの…拓馬君ごめんね?私もう一回買ってくるよ。何が良かった?」
「市原、そんな奴余ったので十分だ」
竜が拓馬を横目で見て片方の口角をわざとらしく上げる。
「でも…」
未来が立ち上がり再び校舎に戻ろうとしたとき、咲が優里の名前を呼んだ。呼ばれた優里はため息をつきまだ開いていないペットボトルを持ち、拓馬に近づく。
「はい、日下君。お疲れ様。日下君にはこれがいいかなーと思ったんだけど…ダメだったかな…?」
思いを寄せる優里に言われては拓馬は何も言い返せない。それどころか優里に笑顔で言われ先程までとは打って変わって満面の笑みを浮かべている。
「ええ!これで、いやこれがええ!おおきに優里ちゃん」
優里からペットボトルを受け取り、勢いよく飲み始める。どこぞのCMにでも出られそうな勢いだ。拓馬以外の四人は最初に優里と竜の机にあった紙をもう一度見ていた。
「なんでこの宝探しの紙は私と竜の机の上にあったんだろ?下手したら片方がもう片方の存在に気づかずにそのまま紙を捨ててたかもしれないし、それ以前に風で飛ばされていたかもしれない…」
「というより、拓馬は別として俺たち四人に探させようとしていたのは目に見えてるよな。優里と未来と俺、誰か一人にこの紙が渡れば他の二人が参加するのは目に見えてる」
「そうだねぇ。私たち三人はほとんど一緒にいるし、竜君とも仲は良いもんねぇ」
「ていうか不良いわれてる俺と優等生のお前ら三人が普通に喋ってる時点で若干おかしいけどな。それより誰なんだよ、このBって」
今この紙を見返しているのはそのためだった。四人ともBなどという人物に心当たりはない。そもそも今までこんなことはなっかたのになぜ突然宝探しなどということになっているのかもわからなかった。
「…わからないことだらけだね。まぁこんな紙切れで寄越すくらいだしもう関門もないんじゃない?屋上なんて最後に真相がわかるスポットとしては最適じゃん」
優里の言葉にそれぞれうなずき立ち上がる。飲み物を飲み終えた拓馬も立ち上がり五人は体育館裏を後にした。





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