「契約の龍」(6)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/05/08 14:27:02
「…………ポチ、と」
ポチ!?最強クラスの幻獣の名前が、「ポチ」!?
「ふうん。可愛い名前だねぇ」
「あ、でも、セシリアは、自分の好きな名前で呼んでもらって構わない。ちゃんと覚えるから」
セシリアがいまにも「ポチ」と呼びそうなので、慌ててそう付け加える。
…それにしても、「ちびちゃん」に「ポチ」だって。なんていうネーミングセンスだ。
「仕方ないだろうが。名前のストックがあまりない、こどものころだったんだから」
非難がましい目で見ているのに気付いたのか、低い声でそうつぶやいて返す。
「リンちゃん、おいでー」
セシリアがそう呼びかける。「リンドブルム」だから「リンちゃん」か。なるほど、同レベルだ。
「大事なのはね、この子に意識を集中して、「お前を呼んでいるんだよ」って解らせること。解った?」
セシリアがうなずいて、もう一度呼びかける。クリスの腕をふわりと飛び立ったリンドブルムが、二・三度はばたいて、セシリアのベッドの上に降りる。そして、甘えるようにセシリアの腕に頭を擦り寄せる。
「かわいい……」
最強クラスの幻獣を形容するにはどうかと思う単語だが、確かにその仕草は可愛い。
「気に入ってもらえた?」
「うん!」
「その子は、私がお母さんからもらったモノなんだけど、この学校にいる間、お世話ができないから、代わりにお世話してくれる人を探してたんだけど……お願いできる?」
「お世話って、散歩とか、餌とか?」
「お散歩はセシリアが疲れちゃうでしょ。時々、この人形から出してあげれば、自分で勝手に散歩するから。餌は……毎日、「可愛い、大好き」って褒めてあげればいいかな。まだ赤ちゃんだからそれで十分だと思う」
幻獣が何を糧とするか、というのには諸説あるが、いずれにせよ、「何らかのエネルギーである」というのは一致している。人の強い感情にも、確かにエネルギーがこもる。だが…そんなのでいいんだろうか。褒めるって。
「でも……クリスちゃんがここを卒業したら、返さなきゃならないんでしょ?」
「それはこの子次第、かな。セシリアから離れるのを嫌がるようだったら、無理に返して、とは言わない。だから、返すのが嫌なら、うんと可愛がってあげてね」
だから、可愛がるだけでいいのか?躾とか、しなくていいのか?
「それから、この子がセシリアを困らせるようないたずらをするようなら、学長先生に知らせて。セシリアは学長先生のおうちでお世話になっているんだったよね?私からもお話ししておくから」
「…あ、人形からこの子を出すには、どうやればいいの?」
「呼ぶだけでいい。声に出して読んでも、強く心に思うだけでも。入れる方は……この子が外にいるのに疲れれば自分から帰っていくけど、セシリアの都合で帰ってもらいたいときは「ハウス!」って強い調子でいえば、強制的に戻される」
ハウス、って。犬扱いか?最強クラスの……
いや、これは。
「人形の方にそういう条件付けがされているんだな?もしかしたらその人形を作ったのって…」
「母だ。人形の造作が今一つだけど、仕掛けの方は丁寧に施されている。とてもではないが私にはまねできない」
戻れ で野生に戻ったら大変なことに!!
さすがまぷこさん!!
ダメなら言ってね。
おもしろかったぁ!!!!!
これって、続きがあるんだよね?
待ち遠しいぞ ワァ──ヽ(〃v〃)ノ──イ!!
しっかり笑いも入れてくださって♪
楽しく読ませていただいてます^^