treasure of alphabet 4
- カテゴリ:自作小説
- 2011/08/27 02:03:30
「オッス」
「あぁ、おはよう」
翌日、下駄箱の前で優里と竜が挨拶を交わす。
「咲たちは?朝練か?」
「そう。昨日出てないから咲は体がなまる、未来は昨日の練習把握しなきゃって」
「サッカー部試合近いもんな」
「うん」
会話をしながら、上靴を取り出そうと同時にふたを開ける。
「「…………」」
ゆっくりとふたを閉めもう一度二人は下駄箱のふたを開けた。
「ハハ…なんか見たくねぇもんが入ってるわ」
「奇遇だね…私のところにも入ってるよ」
次の瞬間、中に入っていたものを取り出し、お互いに見せ合う。竜の手に握られているものは厚みのある真っ白い封筒だった。開けてみると、中には数枚のカードが入っている。優里の手の中にあるのは薄い、これまた真っ白な封筒だった。恐る恐る開き、中に入っているものを取り出す。
「…『ごきげんよう。昨日はお気に召していただけなかったようで、大変失礼いたしました。今回はカードゲームをご用意させていただきました。ルールは簡単。別封筒に入っているカードに書かれているお題をクリアしてゴールを目指してください。皆様のご健闘をお祈りしています。 C 』……?」
暫く無言で封筒を見つめる二人。
「…昨日と大して変わんなくね?」
「ていうか、なんで昨日の今日でまた私たちの下駄箱にこんなものが入ってるのよ…てか何?BじゃなくてCになってるんですけど。なんなのZまで続くのこれ?」
「いや、Aはきてないんだしそうとも限らねぇんじゃねえの?つーか、そう願いたい」二人が肩を落としため息をついたとき、校門からものすごい勢いで校舎に入ってくる者がいた。
「おったー!!優里ちゃん!」
息を切らしながら拓馬が入ってきた。朝練はどうしたのだろうかとも思ったがサボり魔である拓馬に何を言っても仕方がないだろうと二人は考えた。そんな二人をよそに意を決したように拓馬が優里を見る。
「優里ちゃん!昨日の優里ちゃんにはちょぉ驚いたけど、俺の優里ちゃんに対する思いはそんなことで変わらんから!!」
それを聞いた竜がため息をつく。
「お前そんなことで部活休むなって。ていうかそれ、昨日一晩考えたんだろ。その時点でアウトだから。諦めろ」
「な、なんやと!ううううっさいんじゃボケェ!!」
図星だったのだろうか、拓馬が喚きだす。優里と竜は拓馬を無視し、教室に行こうと歩き出したが、数歩進んだあと、ピタッと止まった。
「…倉本。俺今かなりいいこと思いついた」
「奇遇だね。私も今名案が浮かんだところだよ」
そういって振り返る二人。視線の先にはいきなり二人が振り返ったことに驚き喚くのをやめた不良サッカー部員。
「拓馬君。昨日の宝探し、大変だったけど体、大丈夫?」
「お、おお!ばっちりやで!そこらへんのやわな奴とは鍛え方が違う!!」
ガッツポーズを作り答える拓馬。
「そっかぁ!凄いんだね拓馬君!…それじゃあ、今日もちょっと頼まれてもらってもいいかなぁ?」
これから思い人に笑顔で頼まれたがために断れず、過酷なゲームに参加しなければならなくなることも知らずに。
「優里ちゃんの頼みなら喜んで!!」