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読書感想文【ガンプラ開発戦記】

「ガンプラ開発戦記
  -誕生から大ブームまで-」
  猪俣謙次・加藤智
   アスキー新書



1980年代初頭、ガンダムが大人気となった。
特にプラモデルが人気で「ガンプラブーム」と呼ばれたが、
その人気は、売り場に殺到した子供達が将棋倒しになる事故が起こるなど、
異常なほどだった。

ちょうど小学校5,6年生の頃。
テレビ放送の終了後、映画が上映されたが、大行列なので、朝早く行って、
並んだり、「アッチの店にガンプラ入荷」とか聞くと行ってみたり(でも買わない)
したのを覚えている。

個人的には、最初は、プラモデルより、お菓子のオマケなどが主だった。
(小遣いに限りがあるので、より安いもので済ませた)

「ガンプラ」を作るようになったのは、中学、高校くらいからだったろうか。

ちなみにアニメの「ガンダム」は、いろいろな種類の作品が作られ、「ガンプラ」
も発売され続けている。
直近のガンダム作品だけでなく、過去のガンダム作品のプラモデルも発売
されるのが、他に類を見ないところだ。
もはや一種の「ブランド」と言っていいかもしれない。

本書は、その「ガンプラ」誕生前のバンダイの歴史から、ブーム勃発時の
生産現場のドタバタ(・・・というよりパニックに近い騒ぎ)が描かれている。

「ガンダム」のブームに便乗して、「ガンプラ」は誕生したように思えるが、実際は、
それ以前からバンダイ模型は、プラモデルメーカーとして一目、置かれる存在に
なろうとしつつ苦闘していた歴史がある。

キャラクタープラモデルで頭角を現し、ミニタリー物でも徐々に認められるように
なるが、スーパーカーブームに乗り遅れ、経営危機に陥ってしまう。

が、「ヤマト」で逆転ホームラン。


そして、この時、アニメは小学生だけでなく、ヤングアダルト層にも支持されているが、
その需要を満たす商品がない事に気がつく。

「ガンダム」のスポンサーは当初、クローバーという会社だったが、この事に
気づいておらず、従来のセオリー通りのロボットアニメの商品展開をしていたため、
あまり売れず、スポンサーを降りる。
(このためアニメの「ガンダム」は打ち切りとなってしまう)

そして、「ヤマト」での経験があったバンダイは、「ガンダム」の潜在的な人気に気が
ついていたので、スポンサーとなり、今に至る。

明暗を分けた判断、と言って、判断を誤った方を悪く言うのは簡単だ。

当時、雑誌などでも「ガンダム」を従来のロボットアニメの枠組み・用語を使って説明
しようとして、珍妙な「作品紹介」をしている記事を多数、目にした。
(”ジオン軍は「地球征服」をねらっている”など)

が、今のアニメに対して、(大して詳しくもないのに)偉そうな事を語ろうとしたら、
きっと自分も同じ事をしている事だろう。
新しい物を正しく評価できるのは、「異端者」や「傍流の人」だけのような気がする。
(だから「主流はよくない」などと言うつもりはないが)

ところで、5,6年前、久しぶりに「ガンプラ」を作った事がある。
当時、「食玩」に凝っていて、模型に興味が戻ってきていたのと、今の「ガンプラ」は
箱が大きいのが多いが、どうなっているのだろう、と思ったのがきっかけだった。

昔の「ガンプラ」は作る人の技量によって、完成度に大きな違いが出るのに対し、
今の「ガンプラ」は、誰が作っても、そのままで(改造したり、色を塗らずに)アニメの
イメージ通りのものができる。
(その代わり、パーツ数が多く、ほとんど「立体ジグソーパズル」状態になっているが)

メーカーとしては「誰でも」「気軽に」作れる方が(「簡単」ではないが)客層が広がり、
都合がいいのだろうが、個人的には、「技」を発揮する余地がなくなる事の方が寂しく
思える。

単に「マニアック」なのかもしれないが・・・。



アバター
2011/08/28 17:13
いつの時代もマニアという人種はいるので、
改造しようとかいう人は大勢いるようです。

本屋でプラモデルの雑誌を見た時は、
安心さえ覚えました。
アバター
2011/08/28 03:03
マニアというのは、
既製品の更に上を行こうとするものですよね。
誰が組み立てても同じになるキットが出たら、
何か付加して、自分しかできない、
何かの別の価値を作り出そうとするかも・・。




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