Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


プロローグ 処刑台


順番おかしいけど。

気にしない人は読んでね。



処刑台。

 「死」が眼前に迫っていた。暗黒。闇。

いや、闇よりもなお暗き闇なのだろうか。

ボクの生命活動は、まもなく終わりを告げようとしている。

 ハルモニア城の大広間。シャンデリアに今、ボクは命の最後の瞬間を照らし出されている。

銀色の門が目に映った。城門へ続く門だ。ああ、あっちの通路はヨシュアと一緒に遊びに行ったり、かくれんぼをした植物園と続く廊下…まっすぐ行くと、ヨシュアの書斎もあったっけ。植物園の南には礼拝堂があって、よく一緒に神父様に怒られたっけ。左に見える階段を上がれば、ヨシュアのアトリエがあって、よく一緒に絵を描いたよな。三階に行くと近衛兵たちに見つかって、どやされた。

一階の厨房でも、食材を盗んで怒られたよな。ヨシュア…キミは優しい王子様のはずだった。父親の病気を治すために…貴金属を集め、仮面を作ってからおかしくなった。皇帝を名乗り、魔王を名乗り…父親を自らの手で殺した。そして…今…キミは城にいる人間を魔族に変えている。キミは本当に魔王になってしまったのかもしれない。

「49。」ボクの番号だ。

ボクは死刑台へ続く、階段を上がり、「魔王」の前に立った。

ヨシュア…キミにはもうボクはわからないのかい?

 ボクは黒い仮面の下に見えるヨシュアの真紅の瞳を見つめてみた。

 反応は何も返ってこない。身も心も魔王に成り果ててしまったのか。

ヨシュア!

気づくとボクは叫んでいた。

「その名で呼ぶな!余はヴァルモンドなるぞ!皇帝ヴァルモンド。魔王なるぞ!」

「何度でも呼んでやる!ヨシュア!!」

「ヨシュア、ヨシュア、ヨシュア!!」

「……。ヤメロ…ルゥ…助けて」

「!!!」

「ヨシュアぁあああああ」泣いていた。涙が止まらない。止まるわけがない。ヨシュアはボクのことを覚えていた。ヨシュアが覚えていた。嬉しい。

「余は魔王。小賢しいぞ、49番」

ボクの中の時間が止まった…ああ、これは「魔王」だ。ヨシュアじゃない。

鷲づかみにされて身体を持ち上げられ、何かが注入されている。

ボクは魔王の顔を見た。血の涙を流している。

泣いている。「うわぁああああ」ヨシュアは叫んでいる。「ヤメロ……何故貴様に……ルゥ。力を半分あげる…だから助けて」

赤い魔剣が現れ、ボクの胸の中へ消えて行った。「名はレヴァンティン。呼べばきっと君を助ける。だから…ルゥ。生き残って」

「ヨシュアぁああああ」

「僕の最後の力で君を転送する…。ルゥ、僕を忘れないで」と、顔半分だけ笑っていた。顔半分は怒っていた。黒い仮面が透けて見えたわけじゃない。ボクはそう感じた。
今、魔王とヨシュアは戦っている。
忘れないぞ、ヨシュア。ボクは忘れない。

 ボクは手を伸ばした。だが、その手はヨシュアには届かない。

転送の魔方陣は徐々にボクを包んでいく。視界は闇に覆われた。上に上がるでもなく、下に下がるでもなく、右へ左へ移動すると言うことも無い。ただ静かに闇が開くのを待つしかなかった。

 闇の中でボクは目からあふれでる熱いモノを拭こうともせずに、声を上げて叫んだ。

ヨシュア…。今はただ叫んでいたい。

いとしい名を…。


アバター
2011/08/29 00:12
おおっ前回を読み直さねばですっ!
アバター
2011/08/28 23:35
 ヨシュアも戦ってたんじゃねっヽ(´Д`;)...
 
アバター
2011/08/28 23:28
逃げてきた兵器の前のお話です。

順番おかしいけど。読みたい人は読んでね。

基本フィクションです。

あい



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