Nicotto Town



読書感想文【ぼくは神様】

「藤子・F・不二雄 SF短編集④
  ぼくは神様」

  藤子・F・不二雄  中公文庫コミック版




藤子・F・不二雄のSF短編集の第4弾。
中公文庫コミック版から出版されている短編集はこれで最後。
が、短編集自体は、小学館からも出版されているものがある。

収録作品は
「ぼくは神様」
「征地球論」
「求む!求める人」
「旅人還る」
「ぼくの悪行」
「考える足」
「白亜荘二泊三日」
「ベソとこたつと宇宙船」
の8作品

4巻は寓話的な話やSF、ミステリーなど幅広いジャンルの話が集まっている。

子供の頃、読んだ短編集の中に収録されていたのは「考える足」という作品。
タイトルはパスカルの「人間は考える葦である」という言葉のパロディ(だと思う)

足首の中に「脳」ができ、自分の足が「人格」を持った存在になってしまった、という話。
少し怖い話かと思ったが、最後の「条約」の内容は笑ってしまった。


「ぼくは神様」
「何でも自分の思い通りになる力」を持つ主人公。
自覚のなかった最初は「運がいい人」レベルでしかなかった。
が、その「力」を自覚して使うようになってから、次第に制御が効かなくなっていく。

テレビ等では、よく「強運の持ち主」などと、もてはやされる人が登場するが、
それは一面しか見てないから、そう見えるのであって、
別のところでは、大きなマイナスがあったりして、トータルではトントンだったりする
のだろう。

「征地球論」
地球征服の是非を巡って、議論を重ねる異星人。

人類はキケンな存在か否かを確かめるために何度も地球探査に行くが、
そのたびに自分達の理解を超えた行動をする人類に困惑するのであった。

異星人が人間の行動を分析するしながら議論する様子が笑えつつも、
なるほどと思う事がある。

一つのデータから、まるきり正反対の説が出てくるあたりは「理屈と膏薬は
どこへでも付く」という事を暗に言いたいのだろうか。

「ベソとこたつと宇宙船」
この話、ほぼそのままの形で「ドラえもん」に出てくる。
たまたま気が付いたのがこれで、きっと他にもあることだろう。
このような短編集の楽しみ方の一つかもしれない。

アバター
2011/09/03 12:26
>銀木犀さん
短編の中には、長編にしようと思えば、できそうなものなどもあったりしましたから
他のマンガ家が影響を受けて描いた、といのも十分、ありえますね。
アバター
2011/09/03 10:17
ネットの情報によると藤子不二雄Aの方は「笑ゥせぇるすまん」のような
ブラックユーモアの作品を描きたかったのが「ドラえもん」をはじめとする
有名どころの作品のイメージを壊しかねないので、控えていたそうです。

藤子・F・不二雄の短編集(まだ感想を書いていないものも含めて)を
読むと、やはりSF(Shukoshi Fushigiの略)が圧倒的に多いので、
こういう作品を描くのが好きだったようです。
アバター
2011/09/03 10:07
あらすじを拝見すると、これらの作品から、
若い漫画家さんたちがイメージを膨らませて描いた作品が、たくさんあるような気がします。
楽しい、そして読書欲をそそる感想文、ありがとうございます。
アバター
2011/09/03 02:57
藤子不二雄さんは、ペア時代の作品だって、
SF要素の強い、ギャグものでしたから、
やっぱり、彼自身は、こういう作品を書きたかったのかしら?




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