南北スーダン:国境で戦闘激化 2万人が難民に
- カテゴリ:ニュース
- 2011/09/07 21:16:58
【ヨハネスブルク高尾具成】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は6日、7月に分離した南北スーダンの国境沿いにあるスーダン・青ナイル州などで、スーダン軍と南スーダン系武装勢力との戦闘が激化、約2万人が難民となり隣国エチオピア北部に避難していると発表した。同様に国境沿いにあるスーダン・南コルドファン州でも双方の戦闘が断続的に続き、国連の潘基文事務総長は2日、即時停戦を求める声明を発表したが、紛争は長期化の兆しを見せ始めている。
青ナイル州は南北内戦(83~05年)時からの激戦地として知られる。スーダン側に属するが、南コルドファン州とともに、南スーダンとはその分離独立前から人的、文化的つながりが深く、両州とも南スーダンの与党「スーダン人民解放運動」の支持者が少なくない。
国営スーダン通信によると、スーダン政府は2日、スーダン人民解放運動との関係が指摘される青ナイル州の知事を罷免、新知事にスーダン軍司令官を任命した。今回の紛争はこうした「南支持者」に対するスーダン側の強硬な追放戦略がきっかけとなり、双方の緊張が一気に高まり戦闘に発展した可能性が高い。
AFP通信によると、6日、青ナイル州の州都ダマジンでは、スーダン軍と南スーダン系武装勢力との間で激しい戦闘が発生。各地で銃声や迫撃砲の音が響き、死傷者が出た模様だ。同州南部の街コルムクでも戦闘が起き、多数の住民が連日、エチオピアに避難している。
スーダン政府は、南スーダンが青ナイル州や南コルドファン州の武装勢力を支援していると批判。バシル・スーダン大統領は、青ナイル州に非常事態宣言を出した。
スーダンからの難民が流れ込むエチオピアは、すでに隣国ソマリアからの多数の難民を受け入れている。干ばつなどによる食糧危機も深刻化しており、UNHCRは「スーダンからの難民はさらに増えるだろう」と指摘。難民用のテントを新設するなど緊急事態への対応に追われている。
◇スーダンの南北対立
スーダンは1956年1月、英国などから独立。アラブ系イスラム教徒が主導する政府が83年、スーダン全土でイスラム法を導入したことに黒人キリスト教徒などの多い南部が反発し、南北内戦に突入した。約600万人の難民・避難民を出して05年1月、包括和平合意で終結。今年7月9日、南スーダン共和国として分離独立した。
http://mainichi.jp/select/world/news/20110907k0000e030057000c.html