危うさ2
- カテゴリ:自作小説
- 2011/10/01 00:18:53
「宿屋があるわね…あそこで酒場の場所を聞きましょ。」と、ニナは目線で促す。
「いや、まださらに北へ進んでくれ。その先の武器防具のお店も通り過ぎ、さらに北へ。木の柵が見えたら柵を越えて、すぐに右の林へ。林を越えたら町の塀沿いに進み、南へ。そこにフィルハーモニー家の酒場がある。」と、スコットは言う。
「へえ…じゃあ、まだそこは黒騎士たちには占領されてないってことだな。」と、ボクは聞いてみる。
「いや、そういうわけじゃないんだ。そういうわけじゃ…。ただその酒場には隠し通路があって。それを知っているのは酒場の主人だけなんだ。生きていてくれれば「青い鳥」の合言葉で通してくれると思う」
「そうか」
「静かに…。黒騎士に気づかれるわよ」と、ニナは指でクチビルを押さえるしぐさをする。
黒騎士の目線がこちらを向いていた。
音…。音に反応したのか。
ボクたちは口を閉ざし、動くのをやめる。
黒騎士はボクたちの目の前を何度か、行ったり来たりするが…何も無いと判断したのか去って行った。
「ふぅー」自然と息がもれた。
周囲を見渡し、またマントを深く被り、ボクたちは北へ進んだ。
言われた通り、武器防具のお店を通り過ぎ、木の柵を越えて右に曲がると、林があった。
林というよりは風避けに植えた樹木という感じだ。前から黒騎士がまた歩いて来ている。
ボクたちは木の影に隠れ、黒騎士が通過するのを待った。
通過してから、他の黒騎士がいないか確認し、またボクたちは歩き出す。
堀沿いに進み、南下すると、そこにはワインボトルを描いた看板のある酒場があった。
「入る前に…店の中が、黒騎士だらけだった場合は、視線が集まる。だからしゃがめ。しゃがんで、やり過ごすんだ。失敗すれば戦うことになる。いいな…しゃがむんだぞ」と、ボクは念を押して、二人が頷くのを確認してから茶色のドアを開けた。
わああああ気になる!