両棲人間第一号
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/10/05 21:50:43
背表紙のタイトルが「イルカに乗った少年」となっていたが、正しくは「両棲人間第一号」。
ジョウミチルとかいう歌手でも名作マンガでもなく。
ベリャーエフの名作SF小説です。
以前から気になっていたので読んでみました。
この小説のすごいところは舞台が南米アルゼンチンなのに、作者の国籍が旧ソビエト連邦。
ソビエト連邦。。いいイメージがありません。
作者はヤルタで病気療養していたことはあるらしいですが、南の海で泳ぐことなんて一生無かった人物です。
「ソ連のヴェルヌ」と称されるのに一生貧乏だったベリャーエフ。生まれる場所を間違えたのだな。とは思うけど。素晴らしい想像力には感服。
想像力の翼で世界中を飛び回ってたのでしょう。
どんなに暗い世の中でも想像力こそ人間の最後の砦かもしれないと思うのです。
と・こ・ろ・で・・・・作品の日本での出版歴を調べてみると講談社版「両棲人間第一号」の出版が昭和32年。え???
手塚治虫原作「ピピちゃん」連載開始が昭和26年・・。
ええ?手塚先生の方が6年も早い?!
大体、手塚治虫が当時子供向けSFを読んだとも考えられないし。。
「ピピちゃん」はファンならピンと、くると思いますが、人魚の少年の物語で名作「海のトリトン」の原型です。
ピピちゃんは作中で「水中人間第一号」と呼ばれてるのに。
SF「イルカに乗った少年」と漫画「イルカに乗った少年」とは コジツケしかなかった。
前にも言ったかどうか分かりませんが、手塚記念館の打ち合わせで来られてた手塚先生にお会いしたことがあります。
あのベレー帽でした、感動したなぁ。
人間は、海にもどることを試みて、その結果、
毛がなくなり、地殻変動により、海に戻れなくなって、
また地上に戻って、適応するようになったという
かなり本当らしい学説があるそうです。
両生人間のお話。
北風、ピィープゥー(^。^
同じテーマで描いた海外SF作家よりも早く作品を世に出しているのが特徴。
唱和40年ごろまで、日本は鎖国状態でした。ゆえに、あとになって評価されてしまう。
惜しい気もしますが、大阪の風土と敗戦のショックが手塚治を育てたような気がします・