Nicotto Town



鳴き声は変わるよ、どこまでも

ちんちん千鳥のなく声は
  山口仲美
    講談社学術文庫


カラスは「コロク」
ウグイスは「ウーグヒス」
ニワトリは「トーテンコー」
と鳴く。

日本と海外では、動物の鳴き声の聞き方が違う、という話は有名だが、
これは日本国内の話。
地域によって違う、ということでなく、時代によって違う。
(地方によっても違うが)

カラス、ウグイス、ホトトギス、トビ、ヌエ(トラツグミ)、スズメ、フクロウ、
キジ、(イカル)チドリ、ウトウ、ガン、ニワトリ
比較的、身近な鳥か、誰でも知っているような鳥を題材にして、万葉集
や童謡から、日本人が鳥の鳴き声をどのように聞いていたかを辿っている。
(例外はあるが)

鳴き声がピンと来ない場合は、ネットで調べれば音声か動画は見つかるので、
実際に鳴き声を聞いてから読むと実感が湧くので面白い。


欧米人は「自然と人間は対立するもの」と捉えるそうだが、日本人は「人間
は自然の一部」と考える、という違いがあるらしい。
虫の鳴き声ひとつでも欧米人は「雑音」として、日本人は「音楽」として、
脳内で処理する、という研究結果もある

俳句・和歌では鳥の鳴き声を意味のある言葉にかけて表現したり、意味の
あるフレーズに置き換える「聞きなし」という遊びがあったりするのは、そう
いう伝統があるせいだろうか。

カラスだけ取り上げても時代によって、
「コロク」
「コカコカ」
「カカア」

と鳴いたりする。

同じ鳥なのに、ここまで違うと別の鳥としか思えない。
そして、その鳴き声に
「児ろ来(やっこさんが来る)」
「子か子か」
「嚊(かかあ:”かかあ天下”の”かかあ”)」

という意味をかけて、俳句や笑い話に使っていた。

他の鳥でも同様。昔の人が鳥をよく観察していたのがよく分かる。
今より人工的な音がはるかに少なかった頃は、よく聞こえたのだろうし、
鳥の鳴き声や行動から得る情報も多かったのだろう。
だからこそ、こんなに様々な種類の鳴き声を聞き取ったに違いない。


ところで、先日、カラスの落し物の直撃を受けた。

この本の中で引用されているが(孫引きになるが)、イタズラカラスを
追いかけると
「バカァ」
と鳴くらしい。

あの時、カラスを放っておいてよかった。
追いかけていたら、さらに傷つくことになっただろう。

アバター
2011/10/10 17:05
元々は違う国の言葉の漢字を日本語に当てはめたりしてたので、
「聞きなし」のような事は、大昔から日本人は得意だったのかも
しれませんね。

アバター
2011/10/10 12:41
カラスの鳴き声に、人間の言葉を聞きとる・・。
昔の人は、言葉の感覚が優れていますね(微笑)
というか、タモリの空耳アワーを思い出してしまったわ(笑)

ちなみに、セミの声は欧米の人には、ただの雑音で、
場合によっては、恐怖を抱かせる音だそうです。




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