Nicotto Town


小説日記。


最期の舞台は華やかに。【アリスサークル小説】

そっか。私、死んだんだ…―――。


                        *


「電球の交換…ですか?」
 
 とある大地主、フィール家のお屋敷にて。

「えぇ。この大広間のシャンデリアの電球を全て交換しておいて頂戴。」
 
 双子の家無し子、買われた二人のメイド。
 私は、双子の姉のヴァシカ。

「今夜はパーティーが開かれる予定ですから、午前中までにお願いしますね?ついでに、絨毯の掃き掃除もお願いしますよ。」
 
 そう言って奥様は私に、私一人ではとても終わるわけの無い無理な仕事を押し付け、ご友人の皆様とお茶を飲みに行ってしまわれました。

「…どうしよう…」

 弟は今日は風邪で寝込んでいるし。
 でも、やるしかない。

 半ば無理やり自分に言い聞かせると、ヴァシカは裏庭の倉庫から巨大な脚立をえっちらおっちらフラフラしながら運んでくる。

 木の脚立は華奢で、立てるとギシギシ嫌な音を立てた。
 木だからその分軽かったのだが、今にも壊れてしまいそうだ。
 私が乗って壊れないだろうか…。


 でも、やるしかないんだ。
 とりあえずあの、無駄にたくさんある電球を全部外してこよう。
 脚立の脚がずれてしまったら怖いので、いつもこういう仕事の時用に使っているストッパーを脚立の脚に嵌め、絨毯に食い込ませるようにする。
 片足を一段目に乗せると、ミシッと早速嫌な音。
 だがそれを訊かないようにして早足に昇っていった。
 ゆっくりしていたらそれこそ壊れてしまいそうだ。

 一番上まで昇ると、狭い天辺に両脚で立つ。
 背の小さい私は、背伸びしてようやく電球に手が届いた。
 同時にシャンデリアがキシキシ言う。
 今にも外れそうな雰囲気。
 いっそシャンデリアごと取り替えた方がいいんじゃないだろうか。全く。

 そして思わず下を見てしまう。
 2階分の高さを狭い足場から見下ろすと、まるで地獄でも見下ろしている気分になった。
 落ちたら死にはしないだろうけど、どうなるか解ったものではない。

 …ていうか、普通こういうシャンデリアって、鎖で下に降りてくるんじゃないのかな?

 肩にサンタクロースのようにかけていた袋を片手に、一個目の電球に手をかけた。
 
「…ん…、…ッ…あれ?…この……ッ…!」

 回そうとすると、ギシギシ錆び付いた音を立てるだけで一向に外れない。
 回す方向が間違っているのかと反対側に回しても、全然外れてくれない。
 
 ――此処で気がついて私が油差しでも持ってきていれば、少しは状況は変わったのかもしれない。
      それとも、結局あぁなる運命だったのか。

 痺れを切らした私は、今度は袋を口でくわえ、力任せに両手で回した。
 すると、バキッ、とやけに大きい鋭い音がしてするりと電球が外れた。
 
 …私の、足場に乗せていた足ごと。

「…あ…ッ………?」

 遠ざかっていくシャンデリアが見えた。
 そして、背中から落ちていく感覚。
 足が宙を舞い、驚いて放した電球が一瞬持ち上がって、一緒に落ちていく。

 真下から、バキャガシャーン!という壮絶な音が聴こえてきた。
 パニックになるどころか、冷静なままの思考でゆっくり進む世界の中考える。

 脚立の4本の脚のどれかが、電球を無理やりねじとった時に折れてしまったらしい。
 ということは、そうか。

 私、脚立から落ちたんだ…?

 どうしよう。
 脚立、壊しちゃった。
 電球も取替えできなかったし、絨毯の掃き掃除だって、今日の分のお仕事だって、全部終わってないのに。
 怒られ、ちゃう。

 なんで瞬間的にそのことを思ったのか、今でもわからない。
 死に対する恐怖なんて無かった。
 死にたかった。
 早く、こんな生活から解放されたかった。

 でも、それは弟を置いていくことになるわけで。
 
 もう、よく解らない。
 最期に私の口から零れたのは、

「ごめんね、エヴァン…」

 懺悔の言葉だった。



 どしゃっ。と私が脚立の瓦礫と絨毯に落ちた音がして。
 ぱーん、と私の投げ出された右腕に電球が落ちて割れる音がして。
 ばきっ、と、シャンデリアが、天井から外れる音がして。

 微かな風切り音を奏でて、私のぼやけた視界一杯にシャンデリアが迫ってくる。

 全身が木材に強打された痛みで壊れてしまいそうで。
 何故か目尻から零れた熱い雫が頬を濡らして。


 ガシャァアァアアアンッ。と、シャンデリアが落ちて。

 そのガシャァアァアアアンッ。の音の下に、ぐちゃっ。という音を重ねて、私の意識はこの世から、永遠に消滅した。


                       *

 死ぬって何かと、今でも考える。
 本当の世界で死んでしまった私。
 何でもありな不思議な国でも死んでしまった私。
 
 また生き返って、私は何でもありな不思議な国で、"本当"を見ているハズなのに。

 "本当"の世界では永遠に死んでしまったまま、
 私は一体、何処を生きているんだろう―――――?

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2011/10/12 18:56
>夜桜

うわっほーい!!((ty

いやほら、やっぱり脚立から落ちたくらいじゃ死なないかとおm((
ちょwwらめぇwwww
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2011/10/12 18:12
ヴァシカァァァァアアアァァァ!!!

先輩、グロイっす((
想像しちゃっt(
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2011/10/12 17:04
>ちひろ

すげくないwww

ちょwwwwwwww
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2011/10/12 17:02
すげー
グローw
うへーw(
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2011/10/12 17:01
>流風

やっちまったぜ^q^←
ヴァシカですおーwwwwwwwww

いやほら、脚立から落ちただけじゃ死ねないかと思ってつい((
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2011/10/12 16:55
まっ!?
ちょwwヴァシカだよなこれwwww
グロいです、すみません、グロいですwww
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2011/10/12 16:52
実は文字数ギリギリで後書き書けなかったんだ^q^((


流風の書いてたキャロルのに触発されて書いてみたw
まぁ、それとなく感想もらえれば嬉しいかn((



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