十字架の双子。【小説】
- カテゴリ:自作小説
- 2011/10/23 14:20:30
君は僕を見下ろしていた。
勝ち誇ったような目をして、地べたに這い蹲る僕を見下ろしていた。
***
「これで完成だ。」
僕はゆっくりと目を開けた。
優しいマスターの手が、僕の頭を撫でる。
「歩いてごらん?」
マスターが椅子に座って、僕を呼んでいる。
木板の床に足をつくと、最初は上手く安定できなくてよろけた。
両腕でバランスを取りながら一歩一歩足を踏み出す。
マスターが嬉しそうに僕の名を呼んで褒めてくれた。
「さぁおいで、"シュヴァルツ"。」
***
「僕の…弟…?」
マスターが、歩く事も喋る事も完璧に出来るようになった僕にある日、見せてくれた。
新しい、人形を。
「そうだよ。君の弟だ。」
僕とそっくりな顔。
僕とそっくりな格好。
右頬に刻まれた金色の十字架は僕の左頬に刻まれた銀色の十字架と対を成す。
雪のように真っ白な髪。その毛先に輝く金色のメッシュ。
僕のカラスのように真っ黒な髪と、銀色のメッシュと対を成す。
純白の、口許まで覆うロングコート。
金色の十字架が刺繍された美しいそれは、僕の黒くて銀色の十字架の刺繍がされたコートと対を成す。
でも弟は、まだ脚が膝までしか作られていなかった。
「材料が足りなくてね。早く完成させてあげたいのに、在庫切れで届かないんだ。」
それでもマスターは嬉しそうだった。
僕に弟が出来るから。
僕も嬉しかった。
マスターが喜んでいるから。
弟が出来るから。
「この子の名前は"ヴァイス"。シュヴァルツと対を成す、白って意味だよ。」
「ちょっと買出しに行ってくるね、シュヴァイツ。一人で留守番出来るかい?」
その日の夕方、マスターは晩飯の買出しに行ってくると僕に留守番をさせた。
森の中にあるマスターの家は、街から遠いから。
誰も居ない、静寂だけが小さな小屋全体を支配する。
僕は弟が寝かされているマスターの仕事用の机に、椅子を使ってのぼった。
しゃがみ込んで間近から見た弟の寝顔は本当に綺麗で可愛かった。
と――、
キシッ、と何かが動く音がした。
僕は驚いて部屋を見回した。
でも薄暗いから何も見えない。
仕方が無いので弟に向き直ると、弟が僕を見ていた。
「…え?」
黒と灰色のオッドアイの双眸を僕に向けていた。
それは、僕と対を成すオッドアイの瞳。
灰色の瞳の中に刻まれるのは、金色の十字架。
「…お兄…様…?」
ゆっくりと、弟が口を開いた。
「…ヴァイス…。」
僕は驚きよりも、喜びが勝っている事になかなか気づけなかった。
弟の名を呼んで、思わずその手を取って笑いかけていた。
「兄、様。」
弟も僕に笑ってくれた。
けれどその視線は、僕の足元に注がれていた。
僕の脚。
歩く事の出来る脚。
でも弟には、脚 が 無 い 。
弟は、笑っていた。
僕の脚をつかんで、離さない。
それが力任せに、ギリギリと引っ張られる。
僕は驚いて何も出来なかった。
弟はずっと笑っていた。
両手で僕の両脚を鷲掴みして、僕が痛いと泣き叫んでも。
ミシミシと嫌な音が僕の引っ張られている脚からした。
球体関節が悲鳴をあげている。
「ヴァイス、何…してる、の?痛い…よ…痛い、痛い、
それでも弟はずーっと笑っていた。
凄まじい悲鳴とともに、僕の脚が捥ぎれるまで。
「ありがとう兄様。」
にっこりと弟が、僕に笑いかける。
いつのまにか弟の脚に、僕の脚がついていた。
僕の脚が奪われたんだと気づく前に、僕は机から床に突き落された。
「ねぇ兄様?マスターの愛を貰うのは僕と兄様のどっちが相応しいかな?」
机の上から楽しそうな声が降ってくる。
弟が僕の目の前にふわりと降り立った。
「勿論、完璧な身体を持つ僕だよね?」
力任せに頭をつかまれ再び床に叩きつけられる。
僕が起き上がる前に、僕は今度は壁に吹き飛ばされた。
巨大な白い十字架。
それは弟の背丈とほぼ同じくらいの大きさの、
真横から頭をそれで殴られ、僕はピシッ、と陶器で出来た顔に罅が入ったのが解った。
右から左から、殴打されるようにそれで殴られ続けるたび、あちこちに吹き飛んで僕の身体のあちこちに罅が入ってゆく。
ずっとずっと、狂ったような楽しそうな笑い声が響いていた。
「ただいま。」
マスターの声が聴こえた。
でもマスターは、床に無造作に転がるぼろぼろに壊れた僕を"跨いで"、その正面に立ち僕を勝ち誇ったような目で見下ろす弟を抱き上げて。
「よく出来たね、私の可愛いドール。私のドールはヴァイスだけだ。
お兄さんは君が倒したんだ。私の可愛いドール。"ジャンク"にもう用は無い。」
End.
***
なんという結末…!
弟が兄の脚をつかんだとこらへんで「…(´ω`?)」てなったよ!りあるで!((
いあもう最後の辺で顔が(゚д゚ )ポカーンってなっちまいました。
凄いね、これ。一気に人の心掴むよ!((
糾ちゃんの文章力ぱぬぇえ!!!1
尊敬します!(´∀`*)
弟も好きだが兄のほうが好きだ…!
らぶいよ!!1((
いやああお恥ずかしい限りで///←←←
馬路か!!!
いやいやいや私の文才なんてプラマイゼロ寧ろマイ(((((
あの子の原案はかなり凝ったwww
暇なときはログ読みながらhshsに限るねコレ!(((ty
上手くないよwwwww
ただの思いつきスキル発動✩←
あのサークルを作ったときのイメージがこれなんです!(´;ω;`)
なんかもう感無量と言うか・・・・飧糾さんの文才を奪いたいです!((
シュヴァルツ君が可愛すぎてなりちゃでもふるしかないですね(`・ω・´)
腐腐腐www
まごうこと無くシュヴァイツ君はヤンデレですwwwwww
やめんしゃいww
これからも宜しく^^
この度紅蓮狐姉妹に新しく妹として迎えられた不破の血、二十一女の四季です。
どうぞよろしくお願いします。
号泣しました!!
弟はきっとヤンデレだと解釈するしか俺には選択肢がry
この文章力に跪きたい((
【後書き】
えっと、さくりふぁいすどーるず サークルに出てくる私の持ちキャラ二体のドールたちのお話でした。
このサークルに入れば可愛いシュヴァルツ君たちに逢えるぜッ!←
ただ思いつきで書いた駄作になってしまいました。