Nicotto Town



迷宮 3 後編


 「・・・玲がうちに住む、だって?!」
 それは正直、困る。
 別に孝也は玲が嫌いなわけではない。もし嫌いであれば、玲が困っているからといって、婚約者の役など買って出たりはしない。
 だが、それも二人が別々に住んでいればの話である。
 玲と一緒に住むとなると、事情はおのずと変わってくるというものだ。例の作戦だって、実行できなくなる。
 先ほどの毅の態度からは、毅の意思は固いと踏んだ孝也は、(というのも、言いたいことだけ言って、相手の返事を聞くこともせずに部屋を出たあたり、毅にとって相手の都合などお構いなしということであろう)すぐに、デスクの上に置かれている電話から、自宅に電話を入れた。
 (親父の暴走を止められるのは、かあさんしかいない!!)
 正確に2度の呼び出し音の後、久しぶりに母親の声が受話器の向こうから聞こえてきた。
 「はい、滝野でございます。」
 「あ、かあさん?俺。孝也」
 孝也が名乗ると、母親の声が大きく弾んだ。
 「―――まぁ、孝也? おめでとう、婚約したんですって?」
 嬉しそうにそう話す母親に、孝也は声をかけ損ねる。その間も、機関銃のように途切れることなく、言葉がなだれ込んでくる。
 「本当に、嬉しいわ。玲さんなんですってね?お相手。母さん嬉しくって、お父さまに旅行中止にして玲さんをうちに呼ぶようにお願いしたのよ。」
 という。
 (・・・首謀者は、かあさんだったのか・・・)
 本当なら、あと半年は帰ってこないはずの二人が、急遽帰宅したのはそういうわけだったのだ。孝也の嫁などに興味がない(だろう)毅が、母親を連れて帰宅してくるなどおかしいと思っていたのだが、母親が首謀者だとわかり、孝也は妙に納得した。
 「―――かあさん。玲のこと知ってるの?」
 すこし怪訝な孝也の問いに、母親のほうは自信満々に答えた。
 「えぇ。如月 玲さんでしょ?知ってるわよ。ほら、私の参加しているチャリティーがあるでしょ?あそこに玲さんも出入りしてるのよ。すっごくよく出来た娘さんでね。常々孝也のお嫁さんには玲さんがいいわって思っていたんですもの。」
 そう話す母親は本当に嬉しそうである。
 「かあさん・・・。いくら俺でも、結婚する前に同棲なんか出来ないし、玲のばあさんが黙ってないって・・・。」
 「ふふふ。それがね。先ほど如月さまにご挨拶の電話を入れたのね。その時に、OKの返事をいただいたのよ。」
 そう言うと、これから玲の部屋の準備があるからと、一方的に電話を切られた。
 「―――ったく・・・。玲になんて話せって言うんだ?!」
 孝也のほうもため息とともに、受話器をたたきつけるのだった。

#日記広場:自作小説

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2011/11/18 10:44
お母さん天然だったのか(天然怖い;´Д`) ガタガタ)

さて、玲との間に何が起こるのか全体的にも楽しみです^^
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2011/10/29 19:33
ひゆきさん

コメントありがとうございます。

孝也の作戦…。た、多分、後半にちゃんと出てくると思います。
主犯はお母様でした。
しかも企む人の奥様なので
彼女も当然企む人ですw

孝也の好きな人、
後半にちゃんを明らかになります。
これは完結してるからこそ言えるんですけどね。

楽しみにしててくださいませ。
(結果が分かっている恋愛話ですみません)

こっちを先にUPしとけばよかったかなとちょっと思います。
どうやってくっつくのかを楽しんでくださると嬉しいです

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2011/10/26 22:56
あ!そうですよ!
孝也さんの作戦ってなんですか!?
前回のラストで一緒に暮らすなんて話がでたので
そっちにばかり気を取られてしまいましたが・・・
孝也さん、なに企んでるんですか??

唯一の頼みだったお母さんが主犯だったとは・・・(^^;
勝手に鮮やかな手はずでお膳立てしてくれて
ありがた迷惑?もいいところですね(^^;
孝也さんが玲さんに話す前に
もう玲さんに話行ってるんじゃないですか?

孝也さんは元々玲さんを好きなんだと踏んでいた私ですが
「嫌いなわけではない」に
あれ?違うの??と思い始めました・・・。




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