オリンピックの身代金
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/10/25 12:45:37
久々に読みました。
東京オリンピックの頃の日本の話です。
北京も、他の国もきっと同じようなことが起こっているのでしょう。
地方からの出稼ぎ人夫の犠牲の上に、箱物が急ピッチで作られ
都合の悪いことはすべて隠され
その上に華やかなオリンピックが開催される。
もちろん、普段はそんなこと考えもせず
ただただきらびやかな開会式をTVでゆったり見ています。
試合に夢中になり、選手を応援しています。
この作品は、悲しかった、切なかった。
主人公についてまわって、建設現場の様子、地方の農村の様子を見聞きし
主人公の、無機質なまでの心の動きに、憤りでもなく、哀しみでもない動機に
とても寂しさを感じました。
警察内部のいざこざは、もう今では、小説でも映画でも嫌というほど見ています。
それでも、最後に捕まえる刑事には、ほんの少し、人の気持ちを感じました。
キャラクターも、たくさん出てきて、それぞれに意味があり、
個性があり、伏線がありで、おもしろかったです。
最初は時系列に戸惑いましたが、日付をよく見て読むと、すぐに慣れました。
何年も遡るわけではないので。
おもしろかったです。