Nicotto Town



伝えたい言葉 14 前編

 「誰だ?」
 「どなたですか?」
 同じ言葉を発するのだがやはり口調は叶斗の方が柔らかい。だが、雅也に向ける視線のきつさは諒一と何ら変わりはない。発するオーラが、視線がいかにも怪しいものを見るそれだ。
 「あ、えっと…。澤井さんの弟さんかな?」
 しかし、二人の視線にたじろぐことなく雅也は二人ににこやかに話しかける。
 「そうですが、貴方は?」
 「あぁ、ごめん。澤井さんの同僚の龍野と申します。澤井さんは今、いらっしゃるかな?」
 「姉貴は今、手が離せないので、用件があれば代わりにお伺いしますが?」
 そう答えるのはまたしても叶斗だ。諒一は厳しい視線を向けたまま一言も発しない。だが、玄関前に立ちふさがって中の様子が窺い知れないようにしている。―――そんな二人の様子に雅也は満足そうに目を細めた。
 「いや、実は澤井さんが昨夜うちに仕事の資料を忘れて帰ってしまったんだ。明後日の朝に使うものだから、こんな時間に悪いとは思ったんだけど持ってこっせて貰ったんだよ。」
 「姉貴が、貴方の家にですか?」
 がくんと部屋の空気が変わった気がするが、そんなことに動じる雅也ではない。
 「そうなんだ。多分、渡してくれれば分かると思うから。」
 「そうですか。」
 「それでアヤとは、どういう関係なんっすか?」
 「そうだね。―――まだ、同僚、かな?」
 何かを言い返そうとする諒一に、叶斗はすっと手を挙げてそれを止める。
 「そうですか同僚ですか。いつも姉がお世話になっているみたいで、ありがとうございます。では、こちらは姉に渡しておきます。」
 「そうかい?ごめんね。では、お願いします。」
 資料を私、帰ろうとする雅也に叶斗が後ろから声をかける。
 「ところで龍野さん、ちょっとお伺いしますが、龍野さんの家の酢豚ってパイナップルって入ってますか?」
 雅也にとっても諒一にとっていもイマイチ叶斗の問いの意味が分からない。
 「酢豚?パイナップルは入ってるよ?」
 それがどうかした?と言外に問いかける雅也に対し、叶斗はにっこりと笑って見せた。
 「いえ、ありがとうございます。姉が忘れていった資料は僕が責任を持って姉に渡しますから。ありがとうございました。」
 叶斗はにこやかに笑って受け取ると、バタンと、大きな音を立ててドアを閉めた。

 ドアの外と中でしばしの沈黙があった。

 「おいっ。叶斗。お前どういうつもりなんだよ?どういうやつなのか見極めなきゃならないじゃないか!!」
 ドア内側で叶斗にぎゃんぎゃんと吠えているの諒一である。
 「“まだ”同僚だよ。今の段階では。それに彼に聞かなくてもちゃんと説明をしてくれる人がいるじゃん、この家に。」
 にっこり笑った視線のその先はバスルーム。まだもうシャワーの音が聞こえないのでしばらくしたら出てくるだろう。」
 「アヤ、か?」
 「まぁ、そうだね。“まだ”同僚だとしても、どれくらい進展しているかを聞くならあの人よりも姉貴の方がいいよ。―――顔に出るもの。」
 冷やかに笑う叶斗に諒一はこの部屋の気温が一度下がった気がした。
 (こわぇ~…。)
 普段が穏便な分、本気で怒ったときは叶斗は諒一なんか目じゃないくらいに恐ろしい。
 「ホラ、張本人が出てきたよ。」
 バスルームを背に親指で指示した先には、髪をタオルドライをしている綾奈がいる。

#日記広場:自作小説

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2011/11/29 00:10
ひゆきさん

いつもコメントありがとうございます。

叶斗くんは、諒一くんより
一歩引いたところで冷静に物事を見ている感じの子です。

叶斗って名前は知り合いの子の名前なんですが
だんだん思っていた子と違う人種になりつつありますㆀ

続き、早めにUPしますね。
楽しみにしていただけて嬉しいです^^
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2011/11/27 22:57
ひゃー!
大変な尋問が始まりそうな予感!!

感情で突っ走ってしまいそうな諒一くんに比べて
叶斗くんはとても冷静で大人ですね。
でも、その冷静さが逆に怖い・・・(^^;
綾奈さんは無事、この局面を乗り越えられるんでしょうか?><

雅也さんはシレッとしてますが
内心はどうなんでしょう?
“まだ”とか言っちゃって!
本人にも言ってないのにー!

とにもかくにも
続きが気になります!!




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