次は何処なんだ…俺はうんざりしながら、独り言を言った。
船べりの手すりから身を乗り出して、フェレットが海を覗き込んでいる。
ヒヨコが…！
「キー！（こら、走るな！）」
甲板を走り回るヒヨコを摘み上げながら、俺は怒りに震えた。
俺は保育所の先生か？
なんでこんな連中の面倒を見なきゃいけないんだ！？
「キーキー！（みなわ、早く上がってこい！）」
俺は、のんびり海で泳いでいるみなわに向かって喚いた。


その頃、ドラゴンの姉弟は、みなわたちが最初にたどり着いた島にいた。
馬車に乗るために小さくなったままの姿が窮屈で、王子は伸びをした。
「お姉さん、どうして大きくなっちゃいけないの？」
「だって、目立ちすぎるわ」
「お姉さんはデカすぎるけど、僕は大丈夫だよ」
「だめ！」
メガ王女が、怖い目で王子をにらんだ。
「あっ！また誰か来る！」
２匹は馬車の陰にこっそりと隠れた。
新しい馬車が到着して、知らない人間が大きな荷物と銃を引っ提げて海に向かった。
遠くで、ボーっという汽笛が鳴った。
ドラゴンたちが島にやってきてから、少なくとも３組がやってきて船に乗ってどこかへ行った。
「これだけ探しても、島の中にみなわがいなかったってことは、あの謎の船に乗ってどこかに行ったとしか考えられないわよね」
「でも、あれは何処へ行くの？」
ちょっぴり不安そうに、王子が聞いた。
「知らない」
「えー！」
「しっ！静かに。いい、あの人が船に乗り込んだら、そっと後を飛んで行って船に潜り込むわよ」
ボートは姉弟が考えたよりも早く走った。
「待って！お姉さん！」
「もっと早く飛びなさい！」
２匹は何度も海の水をかぶりながら、必死にボートを追った。
「もうだめだよ～」
「泣き事を言わないの！」
ボートが船に到着した。
こんなところで置いてけぼりになったら、溺れてしまうわと、王女は思った。
「急いで！」
ボートから人が船に乗り移るのに手間取っている。
きっと、あの大きな荷物が邪魔なんだ。
そのおかげで、船が動き出す寸前に、ドラゴンたちは引き揚げられたボートに飛びこむことに成功した。
こうして、みなわに遅れること７日、ドラゴンの船旅が始まった。