今日の百人一首
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/12/09 01:31:03
筑波嶺の 峰より落つる
男女川 恋ぞ つもりて
淵となりぬる
現代語訳
筑波山の峰から落ちる男女川の水かさが増えるように、私の恋心も積もりに積もって淵のように深くなってしまった。
作者
○筑波嶺 ― 「筑波嶺」は、常陸(茨城県)の筑波山。男体山と女体山からなる。古代には、歌垣の地として有名。歌垣とは、春と秋に男女が集まって歌舞飲食する祭。自由な恋愛が許され、求婚の場としての役割もあった。○男女川 ― 男体山と女体山を源流とする川。ここまでが序詞。○恋ぞつもりて淵となりぬる ― 「ぞ」と「ぬる」は、係り結び。「ぞ」は、強意の係助詞。「恋ぞつもりて」で、「恋心がつもりにつもって」の意。この場合は、歌を贈った相手である釣殿の皇女、すなわち、後に后となる綏子内親王(光孝天皇の皇女)に対する恋心を表している。「淵」は、水がよどみ、深くなった場所。恋心が深くたまっていることを淵にたとえている。