Nicotto Town



いくつかの、再会(連載記事)

今まで何度かブログのお題にとりあげられていた、


「初恋」ネタ

わたしには、それが いつのことを指すのか、
よくわからないのです。

女の子の友達と変わらない「好き」
だったのか、
子供なりに 違う感覚だったのか。

個人差はあると思います。

前にも書いたことがありますが、
小学校1年2年、仲良しだった男の子。

「ぼくたち、こいびとどうしやねん。しょーらいは、ケッコンするねん」
「するねん^^」(←こいびと、の意味すらよくわかっていなかった私)

わたしは 今とちがって、誰かと仲良くなるのが苦手な子供でした。
でも、一度仲良くなると、ずーっと 大好き。
相手に他の友達ができてしまっていても
私のほうは ずーっと 好き。

それは 相手が女の子の友達の場合も いっしょでしたが。

3年生でクラスが別々になり、
その男の子は 別の仲良しの男の子の友達ができて
遊びにいっても 空振りっ

ちょうど、男の子は男の子、女の子は女の子で遊びたい年齢に
さしかかっていたのかもしれませんが。

中学に入ったときには、その男の子には 一年上の彼女ができていましたし
わたしと廊下ですれ違っても もう、そのへんの景色と変わらないようで
声をかけることすら なくなっていました。

卒業して、その少年は東京の高校へ。
わたしは地元の高校へ。

それから信じられないほどの年月が
あっというまに流れて

私は一人の男性の妻となり、人並みの苦労や 楽しみや
とにかく、過去を振り返る余裕もない日々を過ごしていました。

そんなある日のこと

長年心をわずらっている知人と話をしていたときのことです。
小学生時代の自分を振り返ってもらう作業をしていたら、
「文章を書く」ことを教えてくれた先生の話を
知人は始めました。
その話から 連想したのが 昔の、あの男の子です。

2年生の担任の先生は、子供たちの才能を引出すのに長けていて
毎日の宿題で、「ものがたりをひとつ作る」 というのが出されました。
うまく書けた子のお話は、先生がHRの時間に、みんなの前で読んでくれます。
読んでもらいたくて、みんな 競って創作童話を書きました。

ある日、こんなお話が選ばれました。

学校の教室にかざる花を探して
川原で 黄色い小菊をみつけた少年
一生懸命集めて
(せんせい、よろこんでくれるかな)
教室に飾ります。
先生が教室に入ってくると、
別の女の子が、見事なバラの花をもってきて、
「まあ、なんてステキな。
早速活けましょうね。
その、黄色い小菊は捨ててしまいなさい」

黄色い小菊は 捨てられてしまいました・・・

(注:この先生はK先生のことではありません) という担任への配慮メモつき。

(手元に原稿がないので、細かい部分はまちがっているかもしれません。
その話を聞いたのは、HRの時、一回きりなので。)

ハッピーエンドばかりを書いていた中で
このさみしげな、しかし 余韻を含む話は秀逸で
先生が読み終わったとき、教室はしーん・・・・
しばらくして、ざわざわざわ

(だれが、誰が書いたんや?)

「はい、静かに。これはね、H君が書きました。」

ええ~~っ という声とともに
みんな 彼を振り返りました。

本人は 眉毛まで下ろした サラサラ前髪で 顔をかくすように
ちょっと うつむいて 表情はみえませんでした。

そんな情景が記憶のそこから たちのぼり、
はっと 思い至りました。

(あの子、だいじょうぶやろうか?あの子も この人(=精神病の知人)のように
生きづらくて、死のうとしたり、してないだろうか。
無事に大きくなって 大人になったやろか?)

ハッピーエンドを書かなかった7歳の子供。
人のために、と思っても つたわらないで 切ない思いをすることがある、という
そんな人生のひとつの真理を ものがたりに収めた こども・・・

もう、どこにいるかも わからない彼のことが
とても心配になってきました。
なので、一人になったとき、
<H君>の今を、無事を 静かに神様にお祈りしました。


(続く)







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