迷宮6 後編
- カテゴリ:自作小説
- 2011/12/13 23:25:36
(―――『だってお嫁に行くんじゃないもの。』・・かぁ。)
自分で言っておきながら、何とも気の滅入る言葉である。 自分を大切に育ててくれた祖母を騙す形になってしまったのを、改めて実感してしまう。
(ううん。それだけじゃない。孝也くんの優しいご両親も騙しているんだ。)
そう思うと、とてもやりきれない気持ちでいっぱいになる。 孝也の両親が手放しで自分を歓迎してくれた分、いっそう辛くなる。
玲はふと、南に面している大きな窓を見上げた。
窓には、玲の大好きなピンク色のカーテンが揺らめき、風がこの部屋を巡回していることを証明している。
光も存分に取り入れられ、白を基調とした中に所々配置された薄い翼色の家具を美しく照らしていた。
玲が孝也を婚約してから数日間で用意されたであろうこの部屋のそこかしこに、孝也の母親の気遣いが見て取れた。 きっと玲の為に用意したのであろう。
それを思うと、玲はとても申し訳なく思ってしまう。
(だって、本当は孝也くんのお嫁さんじゃないのに・・・)
本当はこの家に孝也や彼の両親と一緒に住むはずなのは、玲ではなく、他の女性なのだ。そう思うととても悲しくなる。
翼に失恋してたった数日。
こんなに早く、翼が去った痛手から回復している自分を薄情だと思うときもある。
(あんなに大好きだったはずなのに・・・。)
たった数日で、孝也の存在が翼のそれをはるかに凌駕したのだ。
数日前までは、まさか孝也の自宅で同居することなど考えられなかった。
だが、今日。孝也の自宅に来た玲はそれがひどく自然な気がしているのだ。
本当の自分の居場所にいるような、そんな気さえしてくる。
「本当は私の居場所ではありえないのに・・・」
玲は自分にそう言い聞かせるように呟いた。 少し前の自分にとっての孝也の存在する位置と、今の自分にとっての孝也のそれが、少しずつずれてきているのだ。 少し前では考えられないほど、近くにいる。
(何年も翼お兄様が私の中で占めていた位置とも違う)
もっと、大きく大切で、でも翼よりもずっと近い存在。 それが、今の孝也であった。
だがいずれはこの婚約も解消され、孝也は自分以外の女性と家庭を築くことになる。 そしてその時、玲はこの屋敷から、孝也の前から姿を消さなければならなくなるだろう。
―――その時、翼お兄様が去った時ほど素直に受け止められるのかな。
そう自分に問いかけた玲は、小さく首を振った。 これ以上、孝也の傍にいると、翼が去ったとき以上の悲しみが襲うだろうことは疑い得ない。
そう、実感していた。
だが、もう少しだけ。
孝也の傍にいたかった。 たとえ、離れることが辛くなるであろうことがわかっていたとしても、もう少しだけ、孝也の傍で、彼に寄り添っていたい。 そう痛切に思った。

























コメントありがとうございます。
孝也の存在が玲の中でどんどん大きくなっていってます。
数日しか経ってないのにねv
なんか、こう書いちゃうと軽い女みたいですね。
でも、そんな子じゃないんですよw
続き早めにUPしますね。
あと、今日中にHPの方のメールもさせていただけるように頑張りますw
玲さんの中で
孝也さんの存在感がハンパなくなってるんですね!
いいですよ、いいですよw
そもそも
いくら偽装といっても
なんとも思ってない人と婚約なんてしないですよね。
どうやってこの想いが遂げられて行くのか
とても楽しみです☆
っていうか
あれから、まだ数日しか経ってなかったんですね(^^;