金総書記死去:国家情報院と韓国軍、情報に食い違い
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- 2011/12/21 17:28:41
金正日(キム・ジョンイル)総書記が本当に列車で死去したのかどうかをめぐり、国家情報院と韓国軍の説明が大きく食い違っており、情報混乱の深刻さを指摘する声が上がっている。
■食い違った国会報告
北朝鮮は19日昼、金総書記が「17日(午前)8時半に現地指導の途上、走行中の野戦列車で逝去した」と発表した。これについて、元世勲(ウォン・セフン)国家情報院長は20日、国会情報委員会に出席し「16日から18日まで金総書記の専用列車は『平壌竜城1号駅』から動いていない。北朝鮮の発表をそのまま受け入れるのは難しい」と述べた。
しかし、元院長の発言が報じられると、韓国軍当局者は全く異なる証言を行った。「16日から18日まで金総書記の専用列車が動いた」というものだった。同当局者は「専用列車に金総書記が乗っていたかどうかは不明だが、確かに専用列車は平壌駅からどこかに向かった。それは確かだ」と語った。
一方、同じ時間に国会国防委員会では、国防部(省に相当)の金寛鎮(キム・グァンジン)長官が元院長とは異なるニュアンスの答弁を行った。金長官も「韓国の情報当局は、金総書記の行動を把握できないのか」との議員の追及を受け「金総書記がどの列車に乗り、どこに行ったという情報もさまざまな推定情報の一環であり、正確なものではない。軍事情報と軍事外情報は異なることもある」と述べた。「まだ何も確実なことはない」と発言したに等しい。
■過去にも情報の食い違い
国家情報院と軍が異なる情報を明らかにしたか、食い違った分析を示したのは今回が初めてではない。昨年12月1日、元院長は国会情報委で、延坪島に対する砲撃事件を事前に知っていたという趣旨の発言を行った。
元院長は「8月に通信内容の傍受で、(北朝鮮が)西海五島に対する攻撃計画を確認していたのではないか」との質問に対し「そういう分析を行った。情報を入手し、青瓦台(大統領府)と軍に全て伝えた」と述べた。
翌2日、大統領府と国防部の幹部は「いつそんな情報分析を行い、報告をしたのか」と怒りをあらわにした。大統領府の関係者は当時「定期的な書面報告のどこかに1行盛り込んだようだが、それを報告と呼べるのか」と不満を漏らした。
今年2月、インドネシア大統領特使の宿泊先に情報機関の関係者が侵入した騒動でも、国家情報院と軍の情報機関が神経戦を繰り広げたとされる。
このため、国家情報院と軍当局は今年3月から定期的に軍事情報評価会議を開いている。4月には国家情報院第3次長に現役の陸軍少将を任命した。情報機関の関係者は「米国の偵察衛星などの情報を受け取ることが多い軍と、人間の情報に強い国家情報院との間で混乱が生じることはあり得る」と指摘した。しかし、今回の事態で、重大事案の基本的な情報判断すら共有できていない事実が露見した格好だ。
■軍「国家情報院は米軍の情報見られない」
韓国軍当局と国家情報院は、情報源もかなり異なる。韓国軍関係者は「米軍と、衛星・航空機が撮影した写真や映像資料をやりとりしている。国家情報院はそれ以外の個別の情報ソースを持っているだけで、米軍の情報ソースを直接利用することはできない」と述べた。軍と国家情報院はそれぞれ異なる情報に基づき判断するため、結論も異なってくるとの説明だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111221-00001292-chosun-kr