Nicotto Town



人間 vs. ニワトリ

にわとりのジョナサン
  ソル・ワインスタイン、ハワード・アルブレヒト 共著
  青島幸男 訳
    勁文社 エコーブックス


タイトルからすぐにピンとくる人も多いだろうが「かもめのジョナサン」のパロディ。
ちなみに訳は「意地悪ばあさん」であり、「東京都知事」でもあった青島幸男。

主人公のジョナサンは空に憧れ、毎日、訓練を続け、ついに飛行能力を手に入れる。
そして、養鶏場で人間に食われるのを待つだけの人生・・・いや鳥生はゴメン、と故郷
を飛び出し、ニューヨークへ旅立つ。

が、そこで人間達のニワトリ一族に対する扱いに腹を立て、仲間の自由と平和のため
に人間達と戦う事を決意する・・・。


ジョナサンの戦う相手は、誰もが知る日本でも有名な某フランチャイズチェーン
古い本なので時代なのだろうか、そのままの名前で登場する。
今なら、即、文句をつけられ、自主回収になるに違いない。


基本的に荒唐無稽な話なのだが、ジョナサンの最初の人間との戦いと「敵」の
ニワトリに対する姿勢が気になった。

ジョナサンの最初の「戦い」は某有名フランチャイズチェーンではなく、日本から
上陸した照り焼きチキン専門店(具体的な店名は出てこない)
9割のウソの中に1割の真実を含んだデマを広めて、悪い評判をばらまき撤退に
追い込んでしまったのだ。

デマは、ごくわずかな真実を含んでいる、というのがミソ。

実社会でも意図的でも、意図せずにもこういう事を実践している人がいる、と思った。


もう一つ、ジョナサンの「敵」のニワトリに対する姿勢というのは、登場する某有名
フランチャイズチェーンの人には、ニワトリを生き物として見る視線が全く感じられない、
という点。
工業製品のように「効率良く」「早く」「規格通り」にタマゴや鶏肉を作る事しか考えて
いないのだ。
(こういう事を考えているのは、あくまで小説の中に登場する某有名フランチャイズ
チェーンの人なので、実社会とは関係ないが)

こういう姿勢の行き着く先は資源を無駄に浪費した挙句、そのツケを他人に押し付ける、
という事になるだろう。

別に肉を食べるのをやめろ、というつもりはないが、せめて食べ物はムダにせず、
残さず食べる、というのは心がけるべきだろう。
そうでなければ、第2、第3の「ジョナサン」が現れてきてしまう・・・。




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