迷宮 12 後編(完結)
- カテゴリ:自作小説
- 2011/12/29 00:03:00
「姫。一曲踊っていただけませんか?」
そう言って玲に深々とお辞儀をしたのは、薄いグレーのタキシードに身を固めた孝也だった。ただでさえ、引き締まった体躯の孝也だが、そのタキシードは孝也をいつも以上に大人に見せた。
6時にはじまったパーティーの1曲目を踊ってから、いろんな取引相手にあいさつ回りをしていた孝也だが、30分もする頃には、もう、玲の隣にやってきた。 滝野家恒例のクリスマスパーティーには、孝也の両親はモチロン、今は別のところに住んでいる孝也の弟、玲の祖母カヤノや、あと先日勘当をとかれた山本 翼・美咲夫妻をはじめ、美咲の兄やほか、多くの著名人で埋め尽くされていた。
「はい、王子様。喜んで。」
玲は孝也のセリフを受けてそう応えると、腕まである手袋を付けた右手を、孝也の左手にそっと重ねる。 孝也はその手を優しく握ると、玲の腰に腕を回して確実なステップを踏んだ。
「・・・夢、みたい・・・。」
玲は孝也の分厚い胸板に頬を当てるとそう呟いた。
「なにが?」
「だって、こうして孝也くんと踊れるなんて・・・。」
玲は夢見心地でそう応える。
「俺も、だよ・・・。」
孝也はそう応じ、玲の身体をゆっくりと優しく包み込んだ。そしてそのまま、みんなの輪をはずれ、パーティー会場を抜け出した。
「―――どこに行くの?」
そう不思議そうに問いかける玲の手を引いて、孝也は自分の部屋へ再び、玲を引っ張り込んだ。
「玲。この間の俺のセリフ、覚えてる?」
そう話す孝也はいつになく真剣だ。
「・・・う、うん////。」
忘れるわけがない。玲は顔をまっかにしつつ応える。
「今日、俺の誕生日、なんだけど、俺が生まれたの丁度午後の7時だったんだ。」
そう窓辺によって呟いた。
「おめでそう。もうすぐ孝也くんが生まれて25年が経つんだね。」
「―――それで、その時間に、玲を俺にくれないか?その時間に玲を丸ごとほしい。」
そう言いながら、窓辺にそっと手を着き、玲の方を改めて振り返った。玲は孝也の意思を図りかねたようにな様子で孝也の方を見ている。
「え?」
「―――今日の、その時間に、これをかぶってもう一度みんなの前を一緒に歩いて欲しい。」
孝也の手には、真っ白で上品な細かいレースのベールが握られている。
「・・・これって・・。」
「そう。今日、これから結婚式を挙げて欲しいんだ。そして玲をまるごと俺のものにしたい。」
ごめん、あんまりロマンチックじゃないね。孝也はそう言うと、少し笑って見せた。
「―――うちの両親にも、総帥にも承諾を貰ってる。」
あとは玲次第だと孝也は言った。
多分、今日届けられたこの純白のドレスも、そして、今日聞かれた花のことも、すべてここにつながっていたのだと玲は改めて思う。 嬉しかった。知らなかったとはいえ、孝也が自分のために心を砕いていてくれたことも、そして、孝也の両親や玲の祖母が自分のためにしてくれたこと全てが・・・。
「―――はい。」
ややして玲は、そう返事をした。
「え?」
そう尋ねるのは、今度は孝也の方だ。
「はい。孝也くん。―――今日、私は孝也くんと結婚、します。」
玲は孝也の眼をまっすぐ見てそう返事をした。
「玲っ。」
孝也はゆっくりと玲のほうへ歩み寄り、彼女の身体を両手一杯抱きしめた。
「―――ありがと。」
そう彼女の耳元で囁く。
「ううん。私のほうこそ―――嬉しい。」
玲はそう言うと、孝也にキスをする。
孝也は一瞬ビックリしたようだが、やがてより一層強く、キスを返した。
午後7時。
階下から流れるウェディングマーチが静かに二人の耳に聞こえてくる。
「行こう、か?」
孝也はそう言うと、先ほど持っていたベールを、玲の頭にそっとかける。 玲はややかがんで、孝也のかけてくれるベールを頭に受け、幸せそうに微笑んだ。
孝也の右手に自分の左手を乗せた玲は、孝也に導かれるがまま、ゆっくりと階段をおり、ウェディングマーチとみんなの祝福が待つ、ダンスホールへと再び歩んでいく。
一歩一歩。 二人がこれから歩く長い道を踏みしめるかのように・・・。
迷宮 完

























コメントありがとうございます。
孝也君の初恋の人は玲ちゃんでした。
焦らし上手ですか?
嬉しいです。
もぅね、孝也への誕生日プレゼント&クリスマスプレゼントですよ。
ずっと清らかな交際をしてましたからw
今日、番外編もUPしました。
こちらの孝也はちょっとヘタレですけど、
でも、私の書く男性では一番かな?
雅也はまだどんな恋になるのか私自身も見えてない感じなので。
次回こそ、伝えたい言葉をUPします。
その時はまた楽しみに覗いてくださると嬉しいです
やって来たらなんと!完結しているではありませんか!!
浦島太郎のような気分ですよ!!
いや~、最初に私のにらんだとおりでしたね!
夏季さんが登場して
あれ?違うの??と思わせて・・・
凛さんってば焦らし上手~w
孝也さんのお誕生日に
玲さんへのサプライズプレゼントですね。
いや、孝也さんにとっても玲さんを自分のものにできたから
それがプレゼントですね。
以前、凛さんが
孝也さんは凛さんの書かれるキャラでイチバンいい男とおっしゃっていましたが
それがよく分かりました♪
ふぬ、凛さんはこのような殿方がお好きなのですね('-'*)
いきなり、フィアンセに裏切られるところから始まりましたし
偽装婚約がどうやってリアルになるのか
その経緯、とても楽しませていただきました。
ラストは幸せいっぱいでとてもうれしいです♪
ありがとうございます☆
今後は「伝えたい言葉」の方の更新を心待ちにします.:*゚..:。:.
コメントありがとうございます^^
良い終わり方とのことで嬉しいです。
あとは、番外編が1個ありますので、
またUPしたいと思います。
その時はどうぞよろしくお願いいたします