「どぉ～もー、金のボーヤでーす！」
「こんばんは、銀のボーヤでーす！」

「二人合わせて、金銀ヤキモチ ブラザーズですよ～」
「そーですよ～、金銀シリモチ ブラザーズですよ～」

「って、言ってる間に、すっかりお正月になっちゃったね～」
「そうだねぇ。 お正月 まっさかり！」

「そして、お正月といえば、初詣につきるよね！」
「え？ 他にも楽しいイベントあるよね？」

「でもさ、今年のニコット神社の犬の宮司さんは、お年玉くれなかったね！」
「うん、去年はもらえたけど…。 震災もあったし、不景気だからじゃん？」

「不景気、不景気って！早く景気回復してくれないと、オイラたち、お年玉をあまりもらわないうちに
　大人になっちゃうよね！」
「ねぇ？ それより、金ボーヤは、何かいい初夢は見られた？」

「おみくじを引けば、小吉だし！」
「ねぇ！ オイラの話を、聞いてるの？」

「え？ 何の話？」
「夢の話！ 何か、いい夢を見ましたか？ って話！」

「そりゃあ、見たさ！ オイラから夢をとったら何も残らないからね！」
「え？ そうなの？ 意外に単純な構造なんだねぇ」

「そうだよ！単純明快だぜ！」
「意味わからないし…。　それで、どんな初夢を見たの？」

「それがね、見たことは見たんだけど、起きたら忘れちゃったの！」
「えー、残念！ でも、金ボーヤらしくもあるけど…」

「ねぇ？ 初夢に見ると縁起のいい物があるらしいけど、知ってる？」
「うん。 一 富士、二 鷹（タカ）、三は 、ええと…」

「サンテグジュペリ？」
「そうだったかな…。 え？ なあに、ジーヤ？ 三は、ナスビ？ なにそれ？ あ、ナスのこと？」

「ねぇ？ ナスの夢のどこが縁起がいいんだろ？」
「さあ？ 冬に夏野菜の夢を見るってところが、いいんじゃない？」

「あ、いいこと思いついた！ ナスはナスでも、ナスカの地上絵にしたらどうかな？」
「え？ 一 富士、二 鷹、三 ナスカの地上絵 って！ スケールが大きすぎるんですけど！」

「しかも、ナスカの上空から見ると、猿や鳥の絵に混じって、ナスの絵が描いてあるの！」
「ひゃー！ 想像を絶するんですけどー！」

「ねぇ？ ところで、銀ボーヤは、どんな初夢を見たの？」
「オイラの初夢は、これ！」

「え？ どれ？」
「だから、今 見ているところなの！」

「え？　じゃあ、現実かと思っていたけど、これって 銀ボーヤの夢の中なの？」
「うん、そうだよ。 心あたりあるでしょ？」

「あ、そういえば、体があやふやで、はっきりしないな」
「だって、夢の中で現実世界を忠実に再現しようと思ったら、寝てもいられないじゃん？」

「まぁ、それもそうだね。 でも、 あのジーヤは、ちょっと手抜きなんじゃない？」
「え？そう？ 白いもやもやに、ジーヤって 書いてあるだけじゃ、やっぱダメ？」

「ダメに決まってるじゃん！ 知らない人が見たら、びっくりするでしょ！」
「でも、知らない人は、オイラの夢 見られないし…」

「あ、いいこと思いついた！ この夢のことをブログに書けば、おもしろいんじゃない？」
「あ！その手があったね！ 最近、ブログのネタに困ってたから助かるよ」

「じゃあ、忘れないようにメモしておいたら？」
「それは、いい考えだねぇ。　あ、オイラ、そろそろ起きないと…」

「え？ もう、帰っちゃうの？」
「うん。 現実世界の金ボーヤが、起こしに来ちゃったから…。 なんでだろう？ いつも金ボーヤは、
　オイラより遅く起きてくるのに…」

「休みの日っていうと、張り切って 早く起きるよね！」
「あ、そうだ。 今日は、みんなで買い物に行くんだったっけ…」

「え！買い物！ いいな、いいな～！ 現実って、いいな～！」
「え？そう？ じゃあ、今度、夢の中の金ボーヤのために、買い物に行く夢を見てあげるよ！」

「え～！やったー！ 超 うれしいんですけど～！ 興奮して、今日は眠れないかも～！」
「え？ 夢の中でも、寝てるの？」

「どこでだって、睡眠は大事ですよ！」
「じゃ、オイラ、そろそろ行くね」

「うん、またね。元気でね。 って、ちょっと待った！ そんなに急に起きないで、ゆっくり起きないと！
　せっかくの初夢を、忘れちゃったらもったいないからね！」
「あ、そうだね。 いろいろ親切にありがとう！ （夢の中の金ボーヤって、意外に親切だね？）」

「いえいえ、どういたしまして」
「じゃあ、 夢でまた会いましょう！」