素晴らしい一日
- カテゴリ:日記
- 2012/02/06 21:59:05
写真洗浄というボランティアをやってます。
東北の被災地でボランティアや自衛隊の方が泥の中から拾った写真やアルバムを洗浄して干して返却する活動。富士フィルムさんから提供いただいたポケットアルバムに入れて返却します。
今は、陸前高田市が保管していた写真を洗浄していますが、泥まみれ、油まみれです。
休憩時間とかに出張のお土産とか参加者の方々が持って来たお菓子を皆さんで楽しむのですが、一昨日、午後の写真洗浄の時間が終わってから、事務局なので後片付けもあったので会場に残っていました。カメラの練習がてらにお菓子の写真をぱしゃぱしゃと撮っていました。
ドアを開けっ放しにしていたせいか、目の前の通路を通る方々が会場の見学を希望される方がいらっしゃいました。
一人は綺麗な女性の方。今度、参加していただけるとの事です。新しい仲間。とても嬉しいです。
若いカップルのお二人。女性の方が横浜在住との事で興味を持っていただけたようです。男性は大坂から来たとか言ってたな。
そして4人の家族連れの方。
写真を撮っている時に声をかけられました。
お子様2人と奥様には写真のクルスをサービスとしてお渡ししました。
陸前高田の出身だそうです。実家は全て流されたそうです。
今日は偶然、この洗浄会場の前を通られたとのことでした。
以前、現地のアルバム展示場にアルバムを探しにいかれ、知人の方のアルバムを見つけられたことがあったと話されていました。
僕たちにはあまり現地の方々がアルバムを見つけている情報等は入ってこないので、少し嬉しかったです。会場の中を案内したところ、ご家族で干し場に干されている写真をじっくり一つ一つ見られていました。それはとても真剣な様子でした。
完成したポケットアルバムも机に並べて見ていただきました。ポケットアルバムの表紙には写真から得られた情報と鮮明な写真が張られています。
「うーん。見つからないな。」
「○○さんのとかね。」
「そうだね。」
「やっぱり見つからないのかな。」
そんな会話が家族間でされていて、僕はその状況に緊張してテンパッて何をすればいいのかよく分かりませんでした。
段ボールに入っている分も探していただきましたが、残念ながら思い当たるものは見つかりませんでした。
「頑張ってください。」帰り際に奥様が僕に向かって言われました。
「ありがとうございます。機会があればまた寄ってください。」僕は応えました。
4人は帰られました。
いろいろ考える事がありましたが少しいい気分でした。
会場を閉めてから近くの高層ビルの70FのBARで一杯飲んでから帰ろうかと思いましたが、奥さんから総菜を買ってから帰ってくるように言われたのを思い出しました。
そして自転車で横浜駅のデパ地下に向かいました。
自転車をこぎながら、さっきの出来事について考えました。
奥様の言葉を思い出したところでなぜか涙が出てきました。
なぜかはよくわかりませんでした。
涙が流れ続けた。嬉しくて少し悲しかった。
僕には今、自分に出来る事がこれしか見つからなくて、でも日常が溶け込んで、悩んで焦って、現地にも行った事がなくて、やっぱり、今の自分にはこれしかなくて。
この活動を始めたのは、もやもやっとした自分の気持ちを晴らすため、東北のためではなく「自分自身のため」と思って続けてきました。
そんな中でご家族の会話、お子様の言葉のひとつひとつまでもが身に沁みていて、そして奥様の言葉によってモチベーションというか、この活動が自分の意志、少し偉そうに言えば自分の良心に基づいていることが確認できた。でもそこには悲しみに満ちた出来事が沢山ある。そんな感情、そんな感じです。
ありがとう。泣きながらこのブログを書いていたのを今、思い出しました。
人生、いろいろありますね。