よすてびと
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/02/26 16:43:56
至福の精霊たちよ
あなた方は天上の光の中
やわらかなところを行き交う
輝かしいそよ風が
聖なる弦をつまびく
女たちの指のように
あなた方に
ほのかに触れてゆく
天上の霊たちは
眠る赤子のように
運命を超えた世界で息づき
つつましやかなつぼみの中で
清らかに身を守られ
その心は永遠に花咲き
その至福のまなざしは
静かに澄んだ
永遠の明るさで輝いている
だがわたしたち人間には
どこにも安らぐ場所はない定めだ
悩み生きる人間は
過ぎゆき
落ちてゆく
岩から岩へと
水が落ちてゆくように
一時も休むことなく
行く末も知らず
落ちてゆく
~Friedrich Holderlin


























浮かぶ姿
別れの七日前に
いつもあらわれる
それは
昔の姿で
また来たのか
そう思うだけ
それは
悲しみを
ともなわない
先に行くのね
そう思うだけ
わたしもいつか
そうして
誰かの前に
あらわれるのだろう
橋の手前の
霞の中で
ここにいられるのは
とても短く
大切なのは
今ではあるが
それは
今ではなく
眠りの中で
訪れる
かたちのない
思考でもない
ただそこにある
なにものかの
存在で
ただ
感じることはできる
それは
わたしだけの
まぼろし