魔女への願い(後編)
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/03/19 23:01:51
道中、真っ白な服を着た女性が兵士の前に立ちふさがりました。兵士はあわてて馬を止め、そこをどくように声をかけましたがその女性は兵士に向かって言い放ちました。
「あなたは以前、黒い服を着た女に願い事を言っていませんか?」
兵士は驚きました。
確かに昔、黒い服を着た女性とそのようなことを話したことを思い出しました。
あの時は間違いなくお姫様を幸せにしてもらうと約束したはず、なぜこんなことが
起こってしまったのか・・・
白い服を着た女は言いました。
「それは間違いなく魔女です。彼女は人から願い事を聞いてその反対のことを起こして喜んでいるのです。」
まさか、そんなことでお姫様の身を危険にさらしてしまったと兵士は後悔しました。
白い女はこの兵士の姿を憐れんで助言しました。
「では、今はあなたの望むことはなんですか?」
もちろん、お姫様の無事に決まっています。そのことを伝えました。
「わかりました。その願いを叶えましょう、屋敷についたら上を目指しなさい」
兵士は白い女が何者か問いただしたところ、女は自分のことを魔女だと言い放ち、
その場から姿を消してしまいました。
「しまった!!」兵士はまたも後悔しました。また魔女に願い事を言ってしまったのです。
いまさらどうにもなるわけでもないので、とにかく急いで屋敷に向かってお姫様を助けに行くことにしました。
お姫様が嫁いだ先の屋敷ではすでに暴徒と化した市民が集まり屋敷の倉庫を
荒らしていました。
兵士は急いでお姫様がいる部屋を探しましたが、屋敷の住民はすでに逃げてしまって
誰もいませんでした。お姫様も一緒に逃げたのかと思っていたのですが、先ほどの
白い女の言った上を目指すという言葉どおりにとにかく上の階に上がってみましたが、
やはり誰もいません。
と、その時、屋根裏の方から何か音がしていることに気が付きました。
屋根裏をのぞくとお姫様が着のままで隠れていました。
聞くと、屋敷の主人や家族は暴徒が襲ってくるのを恐れて夜中の間にもてるだけの
金品をもって逃げてしまったとのこと。
これに反対して市民に食糧を分け与えようとしたお姫様を閉じ込めてしまったとの
ことでした。
とにかくお姫様はそのおかげでけがもなく無事な姿で兵士の手によって救われました。
その後、王国からの支援により暴徒は鎮圧、城で備蓄していた食糧の解放により一時的ではありますが平穏を取り戻しました。
お姫様を置き去りに逃げた貴族は行方知れずのままです。高騰する物価を影で
操作していた張本人であることがわかった現在ではおそらく戻ってくることはないでしょう。
兵士はとにかくお姫様を無事に救出できたことに安堵していました。
王様は必至になってお姫様を守ってくれた兵士に一生お姫様を守ってやってほしいと頼みました。しかしこの頃は身分に差がある者同士のの婚姻はきつく禁じられていたので
異例の任務とされていましたが、その後兵士の真摯な活躍も認められ王族の一員として
迎えられ、お姫様と一生過ごすことができるようになりました。
そんなある日、全身を赤でまとめた女性が兵士を尋ねてきました。
彼女は自身を魔女と呼んでいました・・・。
おしまい
どうもありがとうございます!
赤い魔女についてですが、赤は暖かい色であり、もっとも人の目を引く色です。
情熱の真っ赤な薔薇なんてことも言われているように愛情を表現する色でもあります。
実は考えていたのはここまででした。
あと、「必死」と書くところ「必至」と誤字がありました・・・残念。
兵士とお姫様は一生いっしょに過ごす事ができたんですね♥♥
赤の魔女が気になるけど^^;
他のお話も楽しみにしています♪
はたして最後の赤い魔女は幸せをもたらしてくれるのか、はたまたその逆か?
この後の二人の運命はご想像にお任せします。
白と黒の魔女は、ちゃんと兵士の願い事を叶えてくれたのですね♬
楽しかったですd(♋ω♋✧) 騎士の称号を与えてあげましょうヾ(≧▽≦)ノ