飴玉少女。
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/04/02 10:18:38
お気に入りの哀しみを、ひとつ選んで口に含んだ
誰のものでもない哀しみ
忘れ去られた、過去の哀しみ
浄化された哀しみは、小さくて綺麗な飴玉となるのよ
私はそれを、食べるのが仕事
世界中の哀しみを、一つ一つ食べていくの
(貴方がはやく、元気になりますように)
いただきますの代わりに唱えて、そぅっと瞼を閉じるの
そうすると、その哀しみに関する記憶が、私の中に入ってくるわ
ねぇ、しってる?
飴玉を食べるとね、身体中に哀しみが溢れてくるのよ
その時に零れた涙の行方を、貴方は知ってる?
零れた私の涙はね、地上へと降り注ぐ雨になるの
辛かった貴方の全てを包みこんであげられるくらいの、優しい優しい雨よ
だからね、笑って?
私、貴方が笑ってくれたら元気になるわ
なぜだかは知らないけどね、貴方は私の『大切』なの
だから、ねぇ
そんな顔しないでちょうだい
________________________________✽
『文学少女シリーズ』5巻までの遠子先輩のイメージを元に書きました。
最近、再熱しました。
(読んでる本にすごく影響を受ける人←)
「哀しくてたまらないときに、綺麗に笑える人になりたい」
という遠子先輩に、すごく憧れます。
大きさと形はみんな同じで、色と味と飴がとける時間が違うイメージです。
でも、どれも透明で綺麗なんです。
⇒✝心音 零菜✝ 様。
零菜の悲しみもきっと、飴玉になってるよ。
飴がとけてなくなったら、零菜の心の哀しみもなくなるの。
飴玉になってるのかな
その飴玉は
だれが口に含んでいるのかな
一粒一粒味が違うんだろうな。