自作小説 『椿達の茶会』
- カテゴリ:自作小説
- 2012/04/07 02:07:55
紅と雪と私の3人で午後のティータイムの時間だ。丸いテーブルを囲んで、テーブルの上にはコーヒーカップとケーキが並んでいる。
紅はいつもはしゃいでいて、雪は対照的に落ち着いていた。
そこにはゆったりとした時間が流れていた。
「ねえねえ。紅は、ずっとこうやってケーキ食べてたいっ♪」
「紅。食べ過ぎだよ。そんなに食べてたらまたお腹痛くなるよ?」
紅の子供じみた願望を雪がすぐに注意する。こんな光景がずっと続いていた。
私はふと時間が気になって腕時計を見た。しかし、不思議なことに今見た時間が
急に思い出せなくなった。
そして、雪に声をかけようとした時・・・。
雪が・・居ない?
隣りに座っていた雪が突然居なくなった。そして、また紅の姿も無かった。
二人で何処かに行ってしまったのかなと考えていると、急に不安になってきた。
私は必死に二人を探した。紅がいつものように隠れんぼしているのかと思って、
辺りをくまなく探したが、何処にも二人の姿は無く、諦めてテーブルへと戻った。
そこで、私が座っていた席に誰かが居ることに気がついた。
私の知らない男のようだった。ボロボロな服を着ており、その容姿からはあまり良い印象を受けなかった。
恐る恐る近づくと、男も私に気付き、驚いたように目を見開いた。
しかし、すぐに私から視線をそらせた。
私は紅と雪の事をその男に尋ねた。
「赤い髪と白い髪の小さな女の子を見ませんでしたか?」
男がぼそっと何か呟いた。それは知らないとかうるさいとかに聞こえた。
私はなぜだかこの男が二人の事を知っているのではないかという気がした。
私は急に二人の安否が気になってきた。この男に誘拐されているのではないかという気さえしてきた。
「あなたは二人の事を知っていますよね?教えてください!」
しかし、男は私の言葉を無視した。
それでも私は諦めなかった。私は二人が居ないと駄目なのだ。どうしても・・・。
「あの二人が居ないと私はどうしたらいいか分からない。あの二人が私の心の支えなんです・・」
私は思わず、男に自分の胸の内を告白してしまった。
しかし、男は視線を合わさず、私の願いを微塵も気にしていないようであった。
それどころか少し含み笑いをしたように見えた。そして、ようやく男はこちらを向いた。
「心の支え?可笑しな事を言う。そんな心のこもっていない言葉では人は動かない」
その発言には男の嘲りが含まれており、それは私のその男に対する怒りを彷彿させた。
「心がこもっていないだって?だったら、はっきり言いましょうか?お前が紅と雪を連れ去ったんだろう?とっとと、二人を返せよ!この糞野郎っ!」
すると、男は声を上げてケタケタと笑い出した。
「アハハ。ようやく言葉になってきたじゃないか。しかし、やはり妄想が作り出した人形では駄目だ。人間の言葉を真似ているだけだからなっ。本物には到底及ばない」
そこで、男は急に笑いを止め、視線を落とした。
「人形が人間を模すのは非常に気分が悪い。俺は一人になりたいんだ。だから、お前も消えろ。むしろなぜ消えない?」
私は困惑していた。今、私の事を人形と言ったのか?人間ではないと・・?
「自分の意思に従わない妄想というのは怖いなぁ。何をしでかすか分からない。本当に怖い・・・」
そこからは男の独り言のようであった。
「怖いなぁ怖いなぁ・・・。人に危害を加えたら大変だぁ。こんな怖い妄想は消した方が良いな。うん。そうだな」
男は立ち上がって、こちらを向いた。その手にはいつの間にかナイフが握られていた。
私は先ほどの男の言葉で頭が混乱していて、状況を把握すること出来ず、呆然と立ち尽くしていた。
男がナイフを手に近づいている。私は足がすくみ、その場から逃げ出すことも出来なかった。
「何で消えないんだ。お前?早く消えろよ」
男のナイフが私に向かってきた瞬間、男の全身が真っ白に包まれ、次の瞬間には跡形も無く消えてしまった。
そして、次の瞬間に・・・そう、瞬きを一度する間に眼の前に紅と雪がテーブルを囲んで、ほんの数分前のあの光景へと戻っていた。
「あれ?どしたの?そんな所に立って?」
雪が心配そうに私に声をかけてくれた。
「かくれんぼする?じゃあ、私が鬼で・・・」
「こら。紅。遊ぶんなら片付けしてからにしなさい」
そこには、いつも通りの二人のやり取りがあった。ナイフを持った男の姿は何処にも無い。
あれは夢だったのだろうか・・・いや、それともこちらが夢なのか?
人形・・・。私は人間じゃないのか。
その困惑はひどく私の心をかき乱していた。
しかし、二人の存在は私の心を落ち着かせてくれる。
だから、私は楽な方へと身を寄せた。
あれは夢だったんだ。
今までも、そして、これからもずっとこの二人との穏やかな時間が続くはずだ。
私は再び腕時計を見た。やはり、相変わらず時間は分からないままであった。
→私=男かと思ったりもしたけど、そうでもないのかな?w
鋭いとこ付くね♪
ふふふ。実はわざとですw
男にも女にも捉えれるようにねw何のためって?意味はないさwww
瑠璃にも気づいてくれた?良かった。
誰か一人いない!!と思いながら読んでたけど、瑠璃だったーーww
ごめんね、瑠璃さん><
だよねw
展開が急すぎるわなw
つまり・・・どういうことだってばよ?!って感じですねww
自重してます・・・。突っ走ると後先見えなくなるもので・・・。
ご指摘ありがとう。
>讓さん
たぶん彼女らは幸せに暮らしてます。いや、きっとそのはずだw
竜騎士07が分かるー?素晴らしいっ!
華麗なバッドエンド・・。それも難しそうだね・・。
どちらが現実か分からないままだけど 時間が進んでない所を見ると
やはり 男が居る世界が いまここの世界なんだねえ。
竜騎士07の影響・・・うん とてもわかるww
色々な 伏線から 色々な物語につながっていく話、もしも話大好きーb
華麗なバットエンドもいいんじゃない?w
筋書きはFF並みなのになぁーーw
筋書きは素晴らしいですww
ホラーは好きだからなあww
ハッピーエンドにしたいけど、どうしても紆余曲折を経てしまうなあ。
これだけは言わせて。最後はハッピーエンドにしますww
ホラーは書かないでねw
ハッピーエンド期待してまする(σ・Д・)σ
そして、気がついたらまた心の中オチになってしまったww
そして、何だか釈然としない結末に・・・。ちゃんと続編作って締めた方が良さそうだねwww
私のブログを前から見ている人なら気づいただろうか?青椿の瑠璃がいない事に。(←知らないよね。すんまそんw)
実は紅と雪は、ニコッとタウンで思い付いたのではなく、元々まゆほんの着想にあったのです。
だから、これは結構前からのネタでした。展開は全然変わったけどねw
そして、紅と雪はATLASの女神異聞録ペルソナのシリーズⅠの“まい”と“あき”から着想を得てますw
知ってる人いるかな?
ひぐらしのなく頃に作者の竜騎士07の『うみねこのなく頃に』からも若干影響されてたりします。
余談ですが、なく頃にシリーズで今、『彼岸花の咲く頃に』という作品が最新作ですが、面白いです。オススメです♪ちなみにホラーね。
今度は綺麗なハッピーエンドを書きたいなあ。