Nicotto Town



新しい一歩

私とあなた ここに生まれて
 和合亮一
   明石書店


「本が好き」 http://www.honzuki.jp/
より献本頂きました。感謝。

東日本大震災で自らも被災し、避難所生活を送った著者による詩集。
震災をテーマとし、南三陸町在住の写真家による写真とのコラボレー
ションを行っている。

構成は
Ⅰ 息吹
Ⅱ あなた
Ⅲ ふるさと
Ⅳ 南三陸町にて
Ⅴ 吹き来る風に

となっている。

日常の風景の写真と詩があるかと思えば、別のページでは震災後の
写真が使われていて、その落差に心が痛む。
ちなみに震災後の生々しい写真が使われているのは一部だけ。

写真がなければ「Ⅳ 南三陸町にて」以外はギリギリ普通の詩集として
読む事もできるかもしれない。

特に印象に残ったのは、この言葉。
「ああ拳はにぎるものではない
 開くものなんだ」

震災と関係するところでは、「復興」と聞くと力みすぎる人が多い気が
するし、関係ないところでも、見に覚えのある人も多いだろう。

ところどころではあるが、震災の写真や震災を連想させる言葉があるので、
この部分だけでも読んでツライという人はいるかもしれない。
しかも「Ⅳ 南三陸町にて」はページ数は少ないが、他の章とかなり
異質で際立っている。
・・・というより浮いている、と言った方がいいくらいのもの。

なぜなら、具体的に「津波」を扱っているため。
ここは読むのがつらかった。

さすがにこの章は写真が一枚も使われていない。
印象が強すぎるし、適切な写真がなかったのだろう。なにより写真を
使うべきでなかったのだろう。
人によっては、この章は刺激が強すぎるため、要注意。

救いは最後の方になると、詩の内容に明るさが見えてくる点。
最初は大きなショックを受けて、あまりのことに呆然としている、
といった感じの内容が多いが、次第に希望を感じさせる言葉が
多くなってくる。

全体として内容が悪い、という訳ではないが、読んでいてツライものが
多いので、そう何度も読めるものではない、と思う。




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