無花果日誌 若合春侑
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/04/10 02:12:15
これは 旧仮名遣いではない
花が咲くのに 無花果だなんて
果実として食べられる部分は 花
それなのに 無花果という名前をつけられた
日本人は見た目で 有るものも無い
と書いてしまう民族なんだわ
と思えば 少し憤りを感じるし 無花果に同情してみたり
花も実もある無花果のように
花の咲かない女にはなりたくない。
八百屋の娘だけど お嬢様になりたくて
県庁所在地にあるミッション系女学校に進んだ。
魚市場のある港町で 八百屋を経営する両親のもとに
岩岸桐子 いわきしとうこ は生まれた。
母が亡くなったのは まだ記憶に新しい。
父と弟の三人暮らし。
自宅では 八百屋の看板娘
学校では お嬢様
その学校で 修学旅行のあと
毎日 二人ずつくらい 先生に呼び出される
そして 次の日からいなくなる
次の日も またその次の日も
しだいに クラスの席がまばらになってきた。
なにが起きてるのか質問しても
「おまえたちには関係ないことだから」
答えようとしない。
でも秘密は簡単に漏れてくる
「やっぱりお酒飲んだらだめよね」
えっなんのこと
「岩岸さんはすぐに寝ちゃったから気がついてないけど
みんなで お酒飲んでたの。
私は飲めない体質だから断ったけど」
なにかのきっかけで 二人がばれて停学になったんだけど
その二人が自分たちだけじゃ不公平だからって
みんなを告げ口したんだって。
そして 一人が死んだ。
カトリックの学校だから 神の教えにそむく大罪人
「先生たちが日奈子を殺したのよっ」
「静粛にっ 静粛にっ」
「先生たちがハデスに落ちるべきよ」
「あの子は悪魔です」
「こんな学校やめてやる」
作者は カトリック 好きじゃないみたいね。
カトリックの人は 不快になる小説かも
そんな大騒動があったあとも
桐子は 冷めた目で先生や同級生たちを見ていた
まだ人生ははじまったばかり
女になったばかりの桐子だった。
いちじくです
いちじくの実は 実じゃなくて花の集合体
しかも皮で包まれた内側
花を食べるんです
当て字にもここまでくれば芸術ですね。